【野球】阪神2軍の成長支える新球場での残留練習 設備、広さ、効率化で練習時間大幅UP 選手、首脳陣の証言は
阪神の新2軍本拠地「日鉄鋼板SGLスタジアム」が3月に完成し、運用開始から3カ月が経過した。鳴尾浜球場に比べて練習設備が充実しており、特にウエスタンの遠征試合に帯同しない選手のみで行われる残留練習が戦力に大きな影響をもたらしている。新施設が2軍選手たちの成長をいかにして支えているか。首脳陣や選手の証言を元に解き明かす。
“シン虎の穴”で多くの若手が育っている。鳴尾浜球場から移転し、3カ月が経過した「日鉄鋼板SGLスタジアム」では充実した設備を利用した実りある練習が行われている。
大きく変化したのは室内練習場の設備だ。広さは甲子園室内練習場の1・5倍の面積で天井高も3メートル高い。雨の日はシート打撃をすることも可能だ。打撃マシンは鳴尾浜球場の2レーンから6レーンに増加。さらにボールの自動回収機能により、効率的な練習が可能になった。戸井は、昨年は0本だった本塁打を6月時点で2本マークしているが「(球が)飛んでるところが分かる」と、広いからこそ得られるメリットについて語った。
最も変革がもたらされたのが、ウエスタンリーグの遠征試合に帯同しない残留組の練習だ。練習時間は鳴尾浜時代に比べ、半日からほぼ1日に。恵まれた施設により、成長できる環境が整っている。
平田2軍監督は「こんな施設があるんだから一番練習できる。遠征に連れて行ってもらえないじゃない。遠征に行かないからその分練習ができる。そうやって我々はポジティブに考えている」と語った。豊田は「振る量も走る量も増えた。コーチも去年よりもいる。みんな残りたくないって思うくらいきつい」と苦笑い。開幕2軍スタートも5月に1軍昇格をつかみ、代打の切り札として活躍するまで成長したのは練習のたまものだ。
費用面や出場人数の問題があり、遠征メンバーは絞られる。平田2軍監督は残留したメンバーは帰阪後、次カードではなるべくスタメンで試合に出しているという。
井上は、いずれも遠征となった6月20日からのウエスタン・中日3連戦と次カードのウエスタン・くふうハヤテ戦に帯同しなかった。だが、同27日からのウエスタン・中日3連戦(SGL)では27日にスタメン出場で右犠飛、28日には3カ月ぶりの本塁打を放ち、2戦連続で勝利打点を挙げた。競争を生み出し、チャンスを与えることで、選手のモチベーションを引き出している。
指揮官はファームの存在意義について語った。「ファームは若い子だけじゃない。リハビリ組もいれば、落ちてきた子もいる。いろんな立場が凝縮されている。ブルペンはメイン球場以外にも室内にもあるし、そこで投げ込めたりとか。SGLスタジアムで全てまかなえる」。多くの選手がこの施設で練習する。さまざまな立場の選手が訪れることを考えて、施設作りが行われていた。厳しい練習を乗り越えた次代のスター選手たちがこの球場から生まれていく。(デイリースポーツ阪神担当・河西俊輔)





