【野球】阪神・デュプランティエが三振を奪える理由 リリースポイント安定、130キロ台チェンジアップも習得

 阪神のジョン・デュプランティエ投手(30)の“奪三振ショー”が止まらない。ここまで11試合に先発し、66回2/3を86奪三振で奪三振率11・61。千賀滉大(当時ソフトバンク、現メッツ)が2019年に記録した、シーズン歴代最高11・33を上回るハイペースで三振の山を築けている根拠に迫る。

 なぜ打者は、デュプランティエの投じる球にバットを振りたくなるのか。6月19日のロッテ戦では6連続を含む、自己最多タイの12奪三振で来日初完封勝利。同28日のヤクルト戦は7回無失点7奪三振で4勝目を挙げた。高い奪三振率の要因の一つは、安定した投球フォームから生まれる球の軌道の見え方にあった。

 「リリースポイントの位置を毎回なるべく同じようにするって意識をしているよ。手からのボールの出方が一緒であれば、同じ軌道でボールが行ってくれるからね」

 腕を伸ばして大きく振りかぶり、踏み込んだ左足の少し先、その真上で球をリリースする。「少しでも軌道から外れてしまうと、相手に球種が早い段階で分かってしまう。なるべく同じ軌道で相手の手元ギリギリまで行ったところで変化をつけている」。角度など細部にこだわることで、直前まで的を絞らせない。

 女房役の坂本は「(打者が振ってしまうのは)真っすぐに見えるからじゃないですか。全部の変化球がそれぐらい真っすぐに見えている」と絶賛する。最速157キロの直球は威力抜群で「全てのボールが勝負球になる」と、多彩な変化球を生かせている。

 もう一つ、カギを握るのはチェンジアップ。阪神に入団当初は「どちらかといえば真っすぐに似てしまっていて、自分が狙った結果が取れなかった」と思い通りに投げられず、ギャップに苦しんだ。しかし今は「すごくいいよ!」と有効活用できている。

 日々少しずつの修正を積み重ね、5月末にようやく理想の形にたどり着いたという。「横のスピンをかけて、なるべく下方向にボールが落ちる意識でやっているよ。それだけ意識したら、あとは坂本が止めてくれる」。130キロ台のチェンジアップが武器として加わり、投球の幅が広がった。

 金村投手コーチは「最初は真っすぐとカーブっていうところだったけど、今はチェンジアップっていう素晴らしい動きがまたできて。バッターはどうしようもないよね、あれだけ精度の高い変化球がいっぱいあったら」と高く評価。これら二つの要因に、抜群の制球力が相まって奪三振につながる。

 その上で、デュプランティエが「坂本が配球で状況に合った一番いいボールを選んでくれる」と話す通り、バッテリーで意思疎通して配球を組み立てられていることも大きな要素だ。「そこで相手のバランスを崩すことがうまくいって、三振の数が増えたと思うよ」。チームに欠かせない戦力となった“虎のドクターK”。今後の活躍から目が離せない。(デイリースポーツ阪神担当・和泉玲香)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

インサイド最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス