【野球】日本ハム「完投王国」実現の要因 今季ダントツ14完投!新庄監督高らか宣言「21してほしい」
パ・リーグ首位を行く日本ハムの先発陣が、驚異の数字をたたき出している。すでに完投数は両リーグ断トツの14試合。しかも6投手がマークした。新庄剛志監督(53)が好む先発完投のスタイルが、なぜ実現できているのか。要因を探った。
エース・伊藤が今季初完封を飾った20日の中日戦(バンテリン)の試合後。新庄監督が高らかに宣言した。「『完投王国21』。僕の中では今シーズンの完投の目標の数字にしていて、21してほしい」。折り返し前で目標の3分の2に到達。指揮官の言葉通り、圧倒的な数字を残している。
昨季チーム11完投が、今季は69試合を終えて12球団断トツの14完投。次ぐのは広島の8完投と、実に倍近い差がある。完投した投手6人も最も多く、2番目はDeNAとオリックスの4人だ。
なぜこれほど先発が1人で投げきれる試合が多いのか。加藤武治投手コーチは「完投できる条件としては、七、八回でそれなりの球数で抑えてもらわないと」としたうえで「やっぱり無駄な四球が減っているということ。余計な球数を使っていないので、完投が見えてくる」と要因を挙げた。
チーム与四球数140は12球団最少。2番目に少ないのは広島の157で、170以下でもソフトバンクと阪神を含む4球団しかない。いかにストライクゾーンで勝負できているかがわかる。先発陣の与四球は84で、9イニング換算では1・68。2個未満の計算になる。
新庄監督は投手陣に四球を出さないことを求め、2ボールから変化球でストライクを取ることを課題として取り組ませてきた。中日戦後は、その成果に「やっぱり癖ってつくんですね。みんなできてきている」と目を細めていた。
相乗効果も生まれている。11日のヤクルト戦(エスコン)で今季初完投を先発陣の6番目で飾った加藤貴は「長いイニングを投げていなかったのは僕だけだったし、今日完投できてよかった。ホッとしてます」と実感を込めていた。5試合に先発して7回が最長の達は、4勝しながらも「完投したい」と繰り返している。完投者が多いことで“俺も俺も”という意識が芽生える空気を、加藤コーチも「それはあると思います」と認めた。
もちろん、無理に完投させているわけではない。4月29日のソフトバンク戦(ペイペイ)で伊藤が投じた130球が今季の最多投球数。登板間隔を空けるなど、先発陣が最大の力を発揮するマネジメントも背景にある。
「やっぱり楽しくないですか?最初に投げたピッチャーが最後まで。そういうプロ野球に戻ってほしいなという意味でも、お願いはしています」と新庄監督。先発完投は投手の華-。令和のプロ野球で、そんな魅力あるスタイルが復活しようとしている。(デイリースポーツ日本ハム担当・藤田昌央)
◆日本ハムのシーズン21完投 日本ハムのシーズン21完投以上は、直近で2000年に記録した26完投(135試合)。パ・リーグでは23完投(144試合)だった11年・楽天。ちなみにセ・リーグでは21完投(143試合)の18年・巨人となっている。なお、日本ハムの球団最多は1リーグ時代では急映時代の1948年に記録した91完投(140試合)。2リーグ分立後は50年の59完投(120試合)。





