【スポーツ】田中希実“異例の挑戦”の理由 3000メートルでペースメーカー→1時間半後に1500メートル出場

 陸上女子1500メートルなどで日本記録を持つ田中希実(25)=ニューバランス=が、18日に東京・国立競技場で行われたセイコー・ゴールデングランプリで、日本記録を持つ3000メートルでペースメーカーを務めた約1時間半後、1500メートルに出場する異例の挑戦に踏み切った。きっかけは、前回大会で目にした2人のオーストラリア選手の姿。9月に世界選手権東京大会を控える中、大胆なチャレンジに踏み出した目的とは。

 田中は異例の挑戦に臨んだ。3000メートルのペースメーカーを務め、約1時間半後に本命の1500メートルに出場。参考としたのは、前回大会で1500メートルを走った後に5000メートルのペースメーカーを担ったサラ・ブリングスとジョージア・グリフィス(ともにオーストラリア)。その時、1500メートルでワンツーフィニッシュをした2人だった。

 田中は「1500メートルをメインで走った後にペースメーカーをしていた。そういった選手たちが、かなりいい結果を残していた。スタミナ系を入れるのが、世界で戦う上で必要な力になると痛感した」という。世界を舞台にする上で、新たな術を習得するため挑戦を決めた。

 本命種目後にペースメーカーをするのが理想で、前回大会のタイムスケジュールを踏まえてエントリー。ただ、今回はスケジュールが変更され、先にペースメーカーを務めることとなった。大きな誤算に「ペースメーカを辞めたら迷惑になる。1500メートルをやめようかすごく迷った」という。

 それでも、種目の間隔を運営に調整してもらうなど協力を得て出場。「努力をするという気持ちが大事だと思った。できない言い訳をするのではなく、決まったことに対して向かっていって、その後につなげていきたい」と意思を貫いた。

 1500メートルは4分6秒08で2位だったが「自分がやりたい走りはできた」と手応え。レース間には体幹トレーニングなども取り入れて調整し「1本(レースを)入れることで整うことが多い。逆にバランスが整った。よりよいトレーニングを積むためのヒントになった」とうなずいた。

 また、トレーナーからは「『ペースメーカーをすることで良くなっている』と言ってもらった」という。客観的な視点から見ても好作用があった。さらに「逆に心で制限をかけてしまう方がダメ。頭を空っぽにしていきなさい」とも言われたといい「中学生のころのように走ろうという気持ちでスタートラインに立てた」と、精神面でも収穫があった。

 東京世界選手権へ「まだまだ地力を鍛えていけるチャンスだと捉えられるレースだった」と田中。まずは代表となり、4カ月後、世界に差を見せつける。(デイリースポーツ・南香穂)

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