【野球】巨人・山崎伊織をよみがえらせた阿部監督の言葉とは? オープン戦不調、2軍戦視察で厳命 見えた強さの理由の一端

 オープン戦では不調にあえぎながら、開幕後は2戦2勝、防御率0・00と抜群の成績で投手陣をけん引する働きを見せているのが巨人・山崎伊織投手(26)だ。右腕をよみがえらせた阿部慎之助監督(46)の助言、そして期待に応えた山崎の姿-。昨季リーグ制覇を果たした巨人の強さの理由、その一端がそこには表れていた。

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 「すごく準備をしっかりできている。この先もしっかりと準備して頑張りたいと思う」。9日のDeNA戦(横浜)で8回無失点の好投を見せて今季2勝目を挙げた山崎だが、その言葉にも充実感がにじんでいた。

 昨季まで2年連続2ケタ勝利の山崎。当然、今年はさらなる飛躍が期待されている。ただ、オープン戦は5試合に登板して防御率6・48。戸郷、グリフィン、井上と4本柱を形成する男が、開幕を目前に控えても開幕ローテ入りを確定できないほどに苦しんだ。

 奮起させたのは阿部監督の言葉。3月26日の2軍、オイシックス戦(Gタウン)での開幕前の最終登板後、視察した指揮官からフォークボールの改良を厳命された。

 阿部監督は「よーいドンでたたきつけているから。投げた瞬間にボール。一生、誰も振らねーよって言った。ちょっと工夫してシンカーみたいに(握りを)浅くしてこっち(斜めに)落とすとか、そういう風にしてみたらと」と振り返った。

 開幕前に課せられたフォークの改良は、山崎にとって簡単ではなかったはず。1月には「しっかり指にかかったフォークが投げられるように。ここっていう時に空振りが取れて、自信を持って投げられるボールにしたい」と話すなど、オフからフォークの改良に最も力を入れてきたからだ。

 「練習してきたものをまるっきり変えた。正直、あまりやってこなかった投げ方で投げている」と内海投手コーチとともに短期間での再改良に務め、打者に見極められていた球は、ゴロでのアウトの数を増やし球数も減らす効果を示した。

 特筆すべきは阿部監督の観察眼と決断力。落とすことだけに意識を置いたフォークは手応えが良くとも、打者がバットを出す球になっていなかった。それを的確に指摘し、さらに思い切って変えることを求めたことだ。

 普段の練習ではグラウンド上のあらゆる場所から選手を観察。加えて「2軍監督の時、ボールの握りを(投手)全員から聞いた。全員違うから。面白いよね」という探究心も、決断を後押ししている要素かもしれない。

 そして、阿部監督の要求に対応してみせる山崎自身の能力の高さ。これには「器用だよね。できるんだから」と感心しきりだ。良いものは残し、悪いものは即座に方向転換する阿部監督の切り替えの速さ。それを実行できるのも選手個々の質の高さがあればこそ。巨人の強さの一端が、そこに見えた思いがした。(デイリースポーツ・中田康博)

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