【野球】3連投はどれほどの激務なのか 阪神・石井大智が12球団最速 近年減少傾向の起用法 経験者OBが解説
「巨人0-1阪神」(6日、東京ドーム)
阪神・石井大智投手が1点リードの七回から登板。先頭のヘルナンデスに左翼線二塁打を浴びたが、代打・増田大の送りバントを素早く三塁に送球してヘルナンデスをタッチアウト。続く門脇を空振り三振、坂本も遊ゴロに仕留め、1回14球、1安打無失点で門別のプロ初勝利を援護すると同時に、開幕9試合目で12球団最速の3連投となった。
昨年7月13日の中日戦~15日の巨人戦以来、自身3度目の3日連続登板。4日のカード初戦は6点リードの九回に登板し、甲斐に中前適時打を浴びるなど1回1安打1四球1失点。翌5日の2戦目は2点リードの七回に登板して、先頭の吉川に中前打を許したが、続く岡本を遊ゴロ併殺打に仕留め、ヘルナンデスも三ゴロに斬った。初戦が21球、2戦目が13球という球数だった。
藤川監督は勝利監督インタビューで「元々、連投に制限は持っていなくてですね。日曜日で、どうしても勝ちたいですから、勝てるところはしっかりと、というところで取り切れたので、みんなが報われましたね」と語った。月曜日は試合がない。開幕8試合で4試合に登板していたドラフト1位の伊原をベンチ入りメンバーから外してはいたが、勝てる展開であるならば、石井の3連投をいとわず全力で白星をもぎ取る心積もりであったことを明かした。
そんな指揮官は現役時代の2007年8月30日の広島戦から9月9日の巨人戦まで、6日連続を含む驚異の10試合連続登板を経験している。10試合連続登板で破竹の10連勝を支え、その間、2勝7セーブをマークした。
ただ近年、リリーフ陣の負担を軽減するため、シーズン終盤などを除いて、3連投を避ける球団は増えてきている。『過酷』、『激務』とされる連投は、どれほどのパワーを必要とするのだろうか。
阪神OBで現役時代に3連投を何度も経験したことのある中田良弘氏は「まだシーズン序盤で体が元気だから、3連投といっても大丈夫なはず。昔に比べれば、ブルペンでの投球練習の球数もしっかり計算されてて、何度も肩を作らされることもない。俺なんか、5回も6回もブルペンで肩作らされて、いざマウンドに上がった時にはヘロヘロだったなんてことが何度もあった。けど、今回の石井の場合、イニングの先頭から登板してるでしょ。あらかじめ投げる場所が決まってるはずだし、負担はそこまで大きくないはず」と話した。
では、どういった状況での3連投になれば、負担が大きくなってくるのだろうか。
中田氏は「優勝やCS進出を争うシーズン終盤の時期に、イニングの頭からではなく、ピンチの場面に連続で登板するようなことがあれば、肉体的な疲労だけじゃなくて、精神的な疲労も増してくる。これは球数や投げたイニング以上の疲れが出る。また、失点したりとか、自分のイメージ通りの投球ができない中での連投は、投球フォームが崩れていることが原因となって打たれてるところがあったり、体に負担のかかる投げ方になっていることもあるから、調子がいい時に比べて、肉体的な疲労ものしかかってくる」と実体験を踏まえて解説した。
藤川監督は救援陣を「チームの心臓」と表現し、「今いる投手陣もそうですけど、まだ岡留や漆原やというところで、どんどん数を増やしているところですから、そういう展開が来ればさらにチーム力は上がっていくというか、まだまだ作っている途中です」と語った。
就任後初、しかも敵地の東京ドームで行われた巨人3連戦で3連勝。石井、及川、岩崎がリーグトップの5試合に登板しているが、ブルペン陣の強みを押し出してつかんだ貴重な白星は、激務に対する何よりのねぎらいとなり、8日の甲子園開幕戦に大きな弾みをつけたはずだ。(デイリースポーツ・鈴木健一)