【野球】阪神 岡田監督が貫くキャンプの流儀 早期実戦を排除→第2クールまでみっちり練習 連覇への礎になるか
阪神のキャンプ日程が10日、発表された。2月1日のキャンプインで27日の打ち上げまで休日は4日。着目したいのは初実戦が昨年のキャンプ同様、第3クールに設定されていることだ。
昨年のキャンプも第1、第2クールはみっちりと個別練習、さらに投内連係などチームでやるべき練習に重点を置いた。それは評論家時代、阪神のキャンプだけでなく、他球団の練習内容も見た上で下した決断だった。
解説者として阪神のキャンプを視察した際、連係プレーに乱れが生じても、なぜミスが出たのか、グラウンド上で原因を追及するような場面はなかった。「ここは練習を止めても確認せんとあかんよ。何で確認せんのやろ」と指摘。「紅白戦やったら投手の流れもあるからな。そこは止められないというのは分かるけど、通常練習なわけやんか。同じミスをしないようにチーム内で意識を徹底していくことが必要よ」と語っていた。
その上で「守備は地道な反復練習で向上していくんよ」-。スタンドから古巣の問題点を洗い出すことを怠らなかった。当時、自宅のテレビでは各球団のキャンプ中継が映り、工藤監督時代のソフトバンクも序盤で練習時間をしっかりと確保していたことから「日本一のチームが実戦ではなくしっかりと練習をやってるんやで」と語っていた。
自らの経験&信念にグラウンド外で学んだ知識をプラスさせ、2023年の阪神に注入した岡田監督。勝つために必要な「細かい事の積み重ね」のために、キャンプ序盤の時間を費やした。その結果、考えられないようなミス、ボーンヘッドは明らかに減った。提唱した「普通の野球」を選手が実践し、18年ぶりのリーグ制覇、そして38年ぶりの日本一へと駆け上がった。
そして今年のキャンプも。日程を見れば初実戦は昨年同様、11日に予定されている1・2軍合同紅白戦になる見通し。1日のキャンプインからしっかりと練習を積んでいった上で、個々にレベルアップした戦力の見極めへと移っていくことになる。
スローガンを前年から踏襲すると発表した際も「優勝して日本一になって変える必要ないよ。変えておかしくなるのも嫌やしのう。いい流れで1年間をやったわけやからな」と“こだわり”を語っていた岡田監督。今季、連覇を果たせば岡田流がプロ野球界のスタンダードになっていくことも予想される。
かつて中日を率いた落合監督が、就任1年目(2004年)のキャンプ初日に紅白戦を導入し、優勝した。当時はセンセーショナルだったが、明確な理由があり「選手の特徴などを把握する意味で今年は全員一緒にやった」と説明。あくまでもイレギュラーだったことを明かした上で、翌年からは「チームが勝つために必要な練習が増えてくるだろう」と練習量と質を求める方針に変えた。
現在も早期の実戦形式練習を取り入れる球団は多い。そこはチーム事情の違い、監督の方針の違いもあるため、一概には否定できない。ただ濃密な練習→紅白戦→対外試合→オープン戦→開幕と段階を踏んでチームを仕上げていく岡田監督のやり方。球団史上初の連覇を達成する礎となるか、注目だ。(デイリースポーツ・重松健三)



