【野球】球団史上初のリーグ連覇を狙う阪神に死角はあるのか 評論家が分析「伸びしろ多い」「年齢層が若いのは利点」「刺激与える選手必要」
昨年、2位の広島に11・5ゲームの大差をつけて2005年以来18年ぶりのリーグ優勝を飾り、日本シリーズではオリックスを下して1985年以来38年ぶりとなる日本一の栄冠をつかみ取った岡田阪神。球団史上初のリーグ連覇に挑む今季、果たして死角はあるのだろうか。
阪神OBの中田良弘氏は「去年優勝したと言っても、打線では一昨年のヤクルト・村上の三冠王のようにズバ抜けた成績を残した選手がいないことが阪神の強みになると思う。打率3割を打った選手がいなかったのに優勝できた。選手個人からすれば、収穫、手応えと同時に、反省材料もたくさんあったシーズンだと思うんだけど、チームとして機能したことで優勝できた。年齢層が若いのは利点。伸びしろがまだたくさんある選手が多いだけに、個人個人が数字を上げていけば、連覇の可能性は高いんじゃないかな。他球団との比較もあるけど、80%ぐらいの確率はあると思うよ」と分析した。
その中で、中田氏がキーマンに挙げたのは、4年目を迎える佐藤輝明内野手。「去年の優勝に関しては、大山が1年間4番に座り続けたことが打線としてとても大きかったと思う。今年は佐藤輝が2番目の柱になってくれれば、さらに勝つ確率が上がってくるはず」との持論を展開した。
NPB史上初となる左打者での新人年からの3年連続20本塁打を放った佐藤輝だが、シーズン中には2軍再調整を命じられるなど、全試合出場に11試合足りない132試合の出場で打率・263、24本塁打、92打点の成績だった。中田氏は「今年で4年目。もう助走期間は終わった。まだまだ粗い部分はあるから、もう少し確実性を身につけてくれれば。去年、優勝を決めた巨人戦で打ったホームランのように、力を入れなくてもボールは飛ぶんだということを覚えてくれれば。最低でも30本から35本というのが求められる数字になってくるね」とノルマを掲げた。
同ポジションにライバルが存在することがプラスに作用すると中田氏は指摘する。「去年も開幕ショートは小幡だった。そこから木浪が定位置を奪い返した。キャッチャーでも梅野が正捕手でスタートして、骨折離脱してからは坂本が代役を務める形となったけど、もう『代役』の肩書は不要なキャッチャーに成長した。今年に関しては梅野と五分の争いができるだろうし、梅野に関しては離脱期間に外から阪神の野球を見ることができたことが、今年に生きてくるんじゃないかなと見ている。他のポジションでも、レギュラー陣に刺激を与える選手が台頭してくると、もっともっと強いチームになる要素がある」と解説した。
先発投手陣に目を移せば、昨年は一昨年に共に0勝だった村上頌樹投手が10勝、現役ドラフトで加入した大竹耕太郎投手が12勝を挙げた。8勝の青柳が本来の力を発揮できなかった部分はあるにせよ、伊藤将司投手が10勝、才木浩人投手、西勇輝投手がそれぞれ8勝をマークするなど、他球団がうらやむ豊富な陣容で“谷間”を生ませなかったことも大きかった。
今季に関して中田氏は「特に大竹と村上に関してだけど、去年と同様の数字を求めるのは酷だと思う。去年が出来過ぎた部分もあるけど、相手だって研究してくるわけだし。そういった部分で、岡田監督が期待する門別やドラフト1位の下村あたりの新戦力の台頭は必要だろうね。中継ぎや岩崎と湯浅が構えるストッパーは今年も期待できるだけにね」と、既存の戦力を脅かす若手の台頭がリーグ連覇には不可欠な条件だと位置づけた。
日本一決定後、優勝記念パレード後、優勝旅行中の選手の言葉を聞いている限り、チームに死角の一因となり得る「慢心」の2文字は漂っていないように感じる。むしろ、球団史上初のリーグ連覇という使命を背負い、さらに勝利への渇望が増しているように映る。(デイリースポーツ・鈴木健一)





