【野球】阪神・岡田監督のドラフト1位非公表案に賛否「絶対に言わない方がいい」「各球団が決めること」金の卵の人生を左右する運命の一日

 阪神・岡田彰布監督は10月11日、26日に開催されるドラフト会議に向け、各球団が事前にドラフト1位指名選手を公表することを控えようではないかという私案を披露し、日本野球機構(NPB)が音頭を取って「公表禁止令」を発布することを要望した。

 「そんなん面白ないやんか、何のためのドラフトやねん。誰を指名したかで、そこでワーッと沸くわけやんか。今年はお客さん入れて、テーブルついてやるんやったら、マスコミには言わないっていう、そういう指令を(コミッショナーが)出せばええと思うけどなあ」

 狙いはプロ野球界を盛り上げることにある。今年のドラフト会議は4年ぶりに有観客で行われ、観覧チケットは全席指定の3300円で抽選発売されている。ファンのために楽しみ、ドキドキ感、関心をドラフト当日まで惹きつけておくことが、イベントを打つ興行主に求められる姿勢だと訴えた形だ。

 新監督としてドラフト会場に足を運んだ昨年は、阪神、DeNA、ロッテ以外の9球団が事前に1位選手を公表した。目玉選手が乏しく異例の展開となったが、事前公表した球団が大どんでん返しで1位指名選手を切り替えることもなく、盛り上がりに欠けたと波紋を呼んだことも今回の発言の根幹にはあるのだろう。

 巨人の水野スカウト部長は9日、岡田監督の発言に先立って、「今年は昨年のような発表は全くできないと思っております。直前まで、視察を重ねて(決めたい)。今、誰かから(指名に関する)話を聞いたらウソだと思ってください」と話し、浅野(高松商)の1位指名を早期公表した昨年と同じ形を取らず、非公表とする方針を示した。

 一方、広島は13日に開いたスカウト会議後、青学大の常広羽也斗投手を1位指名する方針を公表した。岡田監督の発言から2日後に1位指名を公表したことについて白武スカウト部長は「うちは誠意を持って(1位で)行きますということ。(公表するかしないかは)各球団が決めることなので、ウチはこういう方針で行きます」と球団のスタンスを貫いた。

 ドラフトは貴重な新戦力を獲得できる貴重な場。1位指名を公表することは球団の誠意を示し、他球団の出方をけん制する重要な駆け引きのひとつでもある。だから、岡田監督のドラフト1位非公表案に賛意を示す声もあれば、ドラフトに戦力アップを求める球団などからすれば、提言に同意しないのは当然とも言える。

 阪神OBの中田良弘氏は「俺も公表する必要はないと思うね。見ているファンのためって考え方もあるけど、何と言ってもスカウトのためだよ、ドラフトってのは。この日のために何年も足を運んで見続けてきたんだから。公表しないことが情報戦になって、各球団との駆け引きになる。もしかしたら一本釣りできるかもしれないというスカウトの腕の見せどころにもなるし、それが集大成。絶対に言わない方がいいと思う」との私見を示した。

 ちなみに中田氏は、原辰徳、石毛宏典らが人気を集めた1980年度ドラフトで阪神からドラフト1位指名されて入団したのだが、ドラフト直前まで在京球団以外からの指名ならば断りを入れて、日産自動車に残る決意を固めていたという。それでも「田丸さんって有名なスカウトがね、前日に『一本釣りで行かせてもらうから、是非ともウチに来てくれ』って電話をくれてね。それで俺は落ちたよ」と裏話を明かしてくれた。

 金の卵の人生を左右するといっても過言ではない運命の一日。今年はどんなドラマが待っているのだろうか。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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