【野球】ヤクルト・村上に復活の兆し 他球団スコアラーが指摘した変化 なぜ昨季三冠王はここまで苦しんだのか

 球団史上初のリーグ3連覇を目指すヤクルトが、28日の広島戦で1分けを挟む10連敗を喫した。16連敗を喫した2019年以来4年ぶりの2桁連敗。首位・阪神に14ゲーム差をつけられるなど、早くも自力優勝の可能性が消える事態となっているが、ここまで不振を極めてきた昨季三冠王の村上に浮上の兆しが見え始めた。

 3大会ぶりの世界一に返り咲いたWBCでは、1次ラウンドから不振に悩まされてきた。準決勝のメキシコ戦で逆転サヨナラ打、決勝の米国戦では同点本塁打を放ったが、シーズン開幕から打率1割台をさまよう低空飛行を続けてきた。

 3、4月は打率・157、2本塁打、12打点と伸び悩んだ。どんな時もチームのムードメーカーであり続けた村上から、笑顔が消えた試合もたびたびあった。それでも5月は打率・277、7本塁打、15打点と右肩上がりの曲線を描き始め、交流戦前ラストの一戦となった28日の広島戦では、リーグトップに並ぶ9号ソロを左翼に放った。

 昨季、打率・318、56本塁打、134打点をマークし、史上最年少の22歳で三冠王に輝いた村上は、なぜここまでの不振にあえいでいたのだろうか。他球団スコアラーが指摘する。

 「去年、シーズン55本塁打目を打ってから、明らかにバッティングが変わりましたね。チームの優勝がほぼ確定的となっていた中、みんながホームランを期待するから、それまでのコンパクトで力強いスイングが、力みだけが目立つ大振りになっていた」

 シーズン最終戦の最終打席でDeNA・入江から、神宮球場の右翼上段へのシーズン最多本塁打となる56号を打ち込んだが、この一撃は昨季最長となる14試合、61打席ぶりの本塁打だった。オリックスとの日本シリーズでは1本塁打を放ったが、打率・192と数字を残せず、シーズン最終盤で崩れた打撃を取り戻せなかった。

 前述のスコアラーは昨季終盤から、開幕直後までに目立った村上のユニホームの変化を指摘する。

 「村上の調子が悪い時って、背番号55の左の5が投手から見えるんですよ。去年の最後も、今年の最初もずっと見えてた。これが見えてるうちは、あんまり打たれることはないかなと踏んでた」

 指摘した背番号の見え方。左の5が投手から見えるということは、右肩が捕手方向にひねられていることを示す。好調時よりも右肩が入り込んだ状態から打ち出す場合、同じ球速のボールに対応するのであれば、自然と差し込まれるケースが増える。また、差し込まれたくないという意識が強くなればなるほど右腰の開きが早くなってバットに力を伝えられず、弱い打球が飛んでしまう原因になる。

 「でも最近、左の5が見える部分が減ってきたんですよ。まだ見えてるってことは、去年の絶好調時の状態にはまだないと見ていますが、それでも三冠王ですからね。これまでよりも打ち損じの確率が減って、それが安打やホームランとなって、ここから数字を残し始めるんじゃないかなと思ってます」

 村上自身、5月の声を聞く辺りから「感覚的にもいいものがある」「感覚的にすごくいいものが出てきた」と復調への手応えをつかみつつあることを言葉に乗せている。

 リーグ戦が終わり、30日からパ・リーグ球団と合計18試合の交流戦に臨む。村上の打棒がどんなグラフを描くのかと同時に、村上の背番号にも注目だ。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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