【野球】5年124億円は安い買い物だった 吉田正尚を獲得したレ軍の慧眼

 レッドソックス・吉田正尚外野手(29)の快進撃が止まらない。8日(日本時間9日)、25打数12安打の打率・480、2本塁打、8打点の成績が評価され、ア・リーグの週間MVP(1~7日)に選出された。メジャー1年目の日本選手の受賞は、昨年4月のカブス・鈴木以来だ。

 8日現在、メジャートップの16試合連続安打を継続中。今季は29試合に出場して、リーグ5位の打率・321、6本塁打、24打点。4月中旬に右太ももの張りで一時調子を落としたが、同23日のブルワーズ戦で満塁弾を含む日本選手初の1イニング2本塁打を放つなど、日本球界で6年連続打率3割をマークした好打者ぶりを発揮している。

 MLB公式サイトでレッドソックスのリポーターを務めるイアン・ブラウン氏は「4月21日からのブルワーズ3連戦中にコーチと相談した結果、打撃スタンスを少しオープンに開く修正を施した。その遠征以来、ヨシダは毎試合最低1安打以上を放っている」と、スクエアに構えていた打撃スタンスを若干オープンにしたことが好結果につながっていると分析。吉田もブラウン氏に「自分が打つべきボールを選ぶことができるので、それがうまくいっている理由だと思います。ボールが快適に見えている」と答えたという。

 オリックスからポスティングシステムを利用して、5年総額9000万ドル(約124億円)でレッドソックスと正式合意した際には、米メディアから「過剰な契約だ」「支払いすぎ」「ミート力と出塁率は高いが、パワーが通用するかは疑問」などと懐疑的な声が多く上がった。だが、今となっては「ヨシダなら、これぐらいやって当然」といった手のひら返しの評価に加え、地元紙のボストングローブ(電子版)では「これまでの成績を見ていると、吉田との契約は泥棒レベルだ」と、5年124億円の年俸が格安の契約だと伝えるほど、吉田株の急騰ぶりは際立っている。

 かつて松坂大輔、上原浩治、岡島秀樹ら、数多くの日本人選手が在籍した歴史を持つレ軍にとって、吉田獲得は球団の悲願でもあった。MLB関係者によれば「吉田の獲得に向けては、3、4年以上前から計画が進められていた」という。

 毎試合、毎打席の結果、内容の詳細はもちろん、ケガ、手術などの詳細な情報、その後のリハビリ経過などの綿密な情報、データを収集した結果、「ヨシダはメジャーで十分に通用する選手。ボールにコンタクトする能力、ボールを見極める眼力、グリーンモンスターを気にする必要のないパワーも持ち合わせている」との結論に至ったのだという。

 獲得に興味を示していた他球団の追随を許さない金額を一発目から提示することで、吉田サイドにレ軍の本気度を伝え、交渉解禁初日に契約合意に達した。吉田は3月に開催されたWBCに出場したが、一般的にメジャー移籍1年目の選手は各投手の特徴をつかむため、チームを離れて国際大会に出場するのは珍しい。だが、レ軍が吉田に出場許可を与えたのも、彼の実力を知っているからこそだった。

 5年総額124億円の価値に見合う働きを見せる求道者。レ軍が求める今季成績は、打率・270~80、20本塁打、80打点だというが、今後もエンゼルス・大谷、ブルージェイズ・菊池らと、明るい話題を提供し続けてくれるだろう。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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