【野球】ヤクルト新守護神・田口 「一番良い収まり」だった理由とは カギとなった清水の存在
ヤクルトのリーグ2連覇を支えた守護神・マクガフが昨季限りで退団し、今季は田口麗斗投手(27)が大役を務めるヤクルト。安定感のあるセットアッパー、清水昇投手(26)も新守護神に名乗りを上げていた中、なぜ左腕が任されることになったのか。理由を高津臣吾監督(54)は「一番良い収まりという判断」と語った。ヤクルト担当・高石航平記者がその真意に迫った。
◇ ◇
4月1日の広島戦(神宮)。新守護神・田口が初セーブを挙げた試合後、高津監督は「キャンプ、オープン戦を見て判断した。いろんなシチュエーションを考えて、田口が一番良い収まりなんじゃないか」と言った。左腕はオープン戦で8試合に登板し8回無失点。マウンド度胸も抜群だ。シーズンでも期待に応え、11試合に登板し1敗7セーブ、防御率1・86をマークしている(1日現在)。
ではなぜ、「一番良い収まり」という言葉が出たのか。その理由を伊藤投手コーチが明かしてくれた。
「七、八回が一番大事なイニングですからね。その大変な部分に清水がいてくれると、チームとしては非常にありがたい」
プロ2年目から3年連続で25ホールド以上を挙げる清水。経験豊富な右腕を抑えに起用する案もあったが、勝ちパターンとしての安定を考えると、チームが最重要視する八回からは動かせない。ならば清水以外で良い投手を…。その判断が「良い収まり」の真意だ。
リーグ2連覇を成し遂げた21、22年。村上、山田らの圧倒的な攻撃力が注目されたが、イニングごとの防御率を見ると、清水が投げることが多かった八回は21年が2・98、22年は1・64だった。大事なイニングで安定した投球をしてきた清水もまた、優勝の大きな原動力となった。
マクガフが退団した昨季末、清水も抑え候補に名乗りを上げたが、その思いはかなわなかった。それでも清水は言う。「八回になったことはマイナスに考えていなくて。九回をやりたいという気持ちを持ったことで、心も体も九回を投げるんだというハングリー精神を持って練習できたのは良いことだった」
チームは3、4月を11勝13敗で終えた。清水は11登板で11ホールド、防御率0・00と完璧な投球を披露。「チームが苦しい時の1勝はまた違うと思う。それに自分の力が関われればすごい良いかな」と充実した表情を見せた。田口も「(守護神は)12球団で12人しかいない特別なポジションだけど、気持ちは(中継ぎだった)去年と同じ」と気負いはない。安定感のある救援陣がツバメ軍団の5月反攻を支えていく。(デイリースポーツヤクルト担当・高石航平)




