【スポーツ】男子マラソン若手台頭の背景は-“星効果”にシューズやドリンクも?

 2月26日に行われた大阪マラソン(大阪府庁前~大阪城公園)で、初マラソンの男子2人が躍進した。日本勢トップの6位に入ったのが西山和弥(24)=トヨタ自動車=で、日本最高記録となる2時間6分45秒をマーク。終盤まで西山と競り合った池田耀平(24)=花王=も同日本最高を上回る2時間6分53秒で7位となった。2人は来年のパリ五輪代表選考会「グランドチャンピオンシップ(MGC)」(10月、東京)の出場権を獲得。世界選手権(8月、ブダペスト)の候補にも浮上した。

 レース後の記者会見で、日本陸連の瀬古利彦ロードランニングコミッションリーダー(66)は「伸び盛りの2人が6分台で走ってくれて喜びを感じている。パリへ向かって夢が生まれてうれしい」と声を弾ませた。

 今月5日の別府大分毎日マラソンでは、2度目のマラソンとなった青学大4年の横田俊吾が2時間7分47秒(4位)で日本学生記録を20年ぶりに更新した。また、同12日の延岡西日本マラソンでは、早大3年で初マラソンの佐藤航希が、2時間11分13秒で優勝した。

 2月に入って毎週のように若手の朗報が飛び込んでいる理由を、瀬古リーダーは「星君がやったことでみんなの自信になった」と説明した。昨年の大阪マラソン・びわ湖毎日マラソン統合大会では、西山、池田と同学年の星岳(コニカミノルタ)が、2時間7分31秒とこの時の初マラソン日本最高記録で優勝した。同リーダーは、この結果に「星君がやれた。他にも能力のある選手はいる。これなら7分台が出ると皆の自信になった。彼のタイムが目標になって自分でもできるとなった」と若手の指標ができたと見る。

 今回の西山と池田は、ともに海外レースに出場するなどライバル関係だった。今回、西山が、35キロで給水が取れなかった池田に自身のドリンクを渡した際、横に並んで「ペースアップすることで、行こうという意思表示をした」と話していたことも印象的だった。池田も終盤のレース展開で「西山選手が行こうかどうかと後ろを見たりしていたので、自分も勝負に行こうと前に行った」と話した。30キロ以降、2人は文字どおりしのぎを削っていた。

 「35キロからはきついと聞いていたが、失うものは何もないと思った」と話していた西山。日本陸連の中長距離、マラソン担当の高岡寿成シニアディレクター(52)は、その攻めの姿勢を「知らないことによるプラスもあるのではないか。初めてのことに対してワクワクできることもある」と、未知の世界への探究心も原動力になっているという。

 西山を指導するトヨタ自動車の熊本剛監督(39)は、環境の充実も若手の台頭に影響していると分析する。「今までは(トラックで)スピードを磨いて、ある程度キャリアを積んでからという流れだった」というマラソン挑戦が、「シューズの変化やドリンクの影響もあるかもしれない。後半にスタミナ切れせず、若い段階から挑戦しやすくなった」と推察した。“星効果”に恐れを知らない探究心、シューズやドリンクと、複合的な理由がかみ合った現状が、好結果を生んでいる。(デイリースポーツ・船曳陽子)

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