【野球】現役ドラフト指名選手の現在地 巨人・オコエに光 開幕1軍をかけたバトル 明暗分けたキャンプ中盤

 出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させることで、新たな活躍の場を与えようという趣旨で初めて導入された「現役ドラフト」が昨年12月に初めて開催され、12球団が1人ずつを指名した。あれから2カ月。各選手は新天地でどのような立ち位置にいるのだろうか。

 楽天から巨人に移籍したオコエは11日の紅白戦に出場し、3打数2安打1打点と結果を残した。四回に右前適時打を放つと、七回には全力疾走で遊撃内野安打。「結果が出たのはひとつ自分としての収穫かなというのと、その中でしっかり課題も持ちながらやっていますが、また新しい課題もできたので、今後に生かせる試合でした」と充実の表情を浮かべ、原監督は「いいものが出ましたね。彼はジャイアンツの1年目ではあるけれど、経験値は持っている人ですからね」と評価し、16日から沖縄・那覇で始まる2次キャンプメンバーに選出した。

 今季の外野陣は丸、来日1年目の昨季に打率・271、23本塁打、52打点と活躍したウオーカー、メジャー通算28本塁打の新外国人、ブリンソンが有力と見られているが、移籍という一大分岐点を経たことで、楽天では存分に発揮できなかった底知れぬポテンシャルが一気に開花し、外野の一角を奪う可能性もあるのではないだろうか。

 ソフトバンク在籍5年間で10勝9敗。防御率4・07だった左腕・大竹は、12日の阪神紅白戦で近本、佐藤輝ら主力主体の白組を相手に3回無安打無失点。最速148キロの直球にカットボール、チェンジアップ、ツーシーム、カーブなど多彩な変化球も織り交ぜ、完璧な移籍後初登板を飾った。早大の先輩である岡田監督は「見ての通りよ。すごい戦力になりそうな気がする」と絶賛。それでも本人は「僕みたいな立場は打たれたら終わり」と気を緩めることなく、今後も開幕1軍、先発ローテ入り、18年ぶりのアレに向かってまい進していく。

 明暗を分けたのは西武から日本ハムに移籍した松岡。12日の練習試合・楽天戦に登板したが、1回6安打7失点と大炎上。翌13日に2軍キャンプ合流が発表された。それでも新庄監督は「本人が一番悔しいだろうし、修正してきたら必ず1軍のマウンドで活躍してくれる選手」と今後の巻き返しに期待を込めた。

 中日からDeNAに移籍した笠原は9日のフリー打撃に初めて登板し、50球を投げて安打性の打球を3本に抑えた。本人は変化球の精度に不満顔を残したが、木塚投手コーチは「チェンジアップもいいし、低めに丁寧に投げる投球は本拠地に合っているのでは」と期待した。

 DeNAから中日に移籍した細川は11日、チームの対外試合初戦となった韓国・サムスンとの練習試合に「4番・右翼」で出場し、右中間最深部に移籍後初アーチとなる3ラン。「ドラゴンズで初めての試合の緊張の中、最高の結果になった。打ち損じせずに捉えられたと思います」と笑顔で振り返った。14日のロッテとの練習試合でも先制の右越え2点適時二塁打を含むマルチ安打と好調をキープし、立浪監督に「細川は見ていて期待を感じる」と言わしめた。外野は左翼・大島と中堅・岡林の2枠が確定的とあって、残る1枠となった右翼を新外国人のアキーノらと争っていく。

 巨人から広島に移籍した戸根は中継ぎ左腕不足に悩むチームを救う存在として期待されており、実戦初登板となった14日の紅白戦で1回無安打無失点。新井監督は「彼の魅力は打てるもんなら打ってみろという投げっぷり」と強いハートを評価している。

 ロッテからヤクルトに移籍した成田は2軍の西都キャンプに帯同中だが、6月27日に故郷・秋田で行われる巨人戦登板に意欲を示しており、石川、石山との秋田県人会リレー実現を夢に描いている。

 日本ハムからソフトバンクに移籍した古川はB組(2軍)スタート。楽天→巨人→日本ハム→ソフトバンクと渡り歩いた苦労人は「4球団目で、持っている以上のものを出そうとして力んだり、よく見られたいと思うことも多かったけど、あまり考えずに持っている力を出したい」と冷静に自分を見つめている。

 そのほかでは、ヤクルトからオリックスに移籍した渡辺大、広島から楽天に移籍した正随、阪神から西武に移籍した陽川、オリックスからロッテに移籍した大下も新天地で活躍の場、出場機会を広げようと奮闘中だ。

 現役ドラフトは今オフも実施される予定。昨年は各球団1人ずつの指名だったが、ルール上では各球団最大2人まで指名できることになっている。出場機会の少ない選手に活躍の場を与えたいという選手会の強い思いが実って導入された現役ドラフトが成功だったと認められるためには、指名された選手が移籍先でどれだけの数字を残せるかも重要になってくる。それぞれが歩み始めた第二の人生。光が差し込む時もあれば、大雨が降る時だってある。一人でも多くの選手がこのチャンスをつかみ取ることを祈りたい。(デイリースポーツ・鈴木健一)

 【2022年の現役ドラフト指名選手】()内は旧球団

 ヤクルト 成田翔投手(ロッテ)

 DeNA 笠原祥太郎投手(中日)

 阪神 大竹耕太郎投手(ソフトバンク)

 巨人 オコエ瑠偉外野手(楽天)

 広島 戸根千明投手(巨人)

 中日 細川成也外野手(DeNA)

 オリックス 渡辺大樹外野手(ヤクルト)

 ソフトバンク 古川侑利投手(日本ハム)

 西武 陽川尚将内野手(阪神)

 楽天 正随優弥外野手(広島)

 ロッテ 大下誠一郎内野手(オリックス)

 日本ハム 松岡洸希投手(西武)

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