【野球】日本球界もぜいたく税の導入議論は必要だ 有原獲得報道、ソフトBの大型補強に思う

 有原航平(30)の獲得が報じられたソフトバンクの大型補強に思う。日本球界にもぜいたく税の導入議論は必要なのではないか。

 今季、覇権奪回を目指すソフトバンクに、昨年11月にMLB・レンジャーズ傘下の3Aラウンドロックを自由契約になった有原が加わることになったと報じられた。MLBでプレーした2年間は、わずか15試合にしか登板できず3勝7敗、防御率7・57と低迷していた。だが、日本ハム時代は2015年にパ・リーグの新人王に輝き、通算で60勝50敗、防御率3・74の実績も持つ右腕だけに、メッツにFA移籍した千賀滉大(29)の抜けた先発陣の一角に食い込んでくるだろう。

 契約条件の詳細は現段階では明らかになっていない。それでも、有原のMLB時代の年俸は1年目が260万ドル(約3億4783万円)、2年目は360万ドル(約4億8160万円)とされるだけに、最低でも年俸3、4億円の複数年契約だろう。日本球界では大型契約の部類といっていい。

 ソフトバンクは今季を迎えるにあたり超大型補強を敢行している。FAで日本ハムから近藤健介(29)、DeNAから嶺井博希(31)を獲得。ロッテを自由契約となっていたロベルト・オスナ(27)に加え、昨季は阪神で5勝5敗、防御率2・73のジョー・ガンケル(30)もチームに加え、補強費はすでに60億円以上といわれている。

 2023年度に関しては全選手の契約更改が終了していないため確定していないが、ここ数年の球団別の年俸総額は1位ソフトバンク、2位巨人、3位楽天が定席だ。ソフトバンクの22年の総年俸は62億1120万円だが、23年はそこからさらに上積みされるだろう。

 いくら高額な補強費を使っても、長いシーズンになれば故障者もでる。ここ数年は新型コロナウイルス感染症の影響で大量の離脱者がでる可能性もあり、優勝できるとは限らない。それでも、22年に関していえば12球団の年俸総額ワーストは中日の25億1391万円で、ソフトバンクとは37億円弱の開きがあった。37億円といえば22年の3位球団・楽天の37億6744万円にも匹敵する金額だ。今回、ソフトバンクが高額な年俸の選手を大量に獲得したことで、球団間の年俸格差がさらに広がり、戦力差が開く可能性は否定できない。

 MLBには2002年8月30日に球団と選手会の労使間で締結されたぜいたく税がある。これは球団側が選手に支払う年俸総額が一定額を超えた場合、超過分に課徴金を課す制度だ。このぜいたく税の導入によって、年俸の高騰はある程度は抑制され戦力の均衡が図られるようになっている。実際、ぜいたく税が導入された以降、ワールドシリーズを連覇したチームはでていない。一定の成果を上げているといってだろう。

 コロナ禍で経営状況が楽ではないチームもあり今後、球団間の格差が広がっていく可能性もある。確かに経営に関しては企業努力もあるだろう。だが、スリリングな試合に向けて戦力均衡を図るために、日本球界でもぜいたく税導入に関する議論だけは始めても遅くはない。(金額はすべて推定)(デイリースポーツ・今野良彦)

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