【芸能】本土復帰50年の年に、沖縄・石垣島から“USJ”がメジャーデビュー

 今年で本土復帰50周年を迎えた沖縄から、記念イヤーにロックバンド「ウルマ・サウンド・ジャンクション」(以下USJ)がメジャーデビューした。田村ヒサオ(ベース、ボーカル)、加勢本タモツ(ドラムス)、山里ヨシタカ(ギター)、福里シュン(ギター)の4人組。結成17年で「本当にいいんだ」(田村)と自分たちも驚いたメジャーデビューを迎えた、彼らの正体に迫った。(デイリースポーツ・藤澤浩之)

  ◇  ◇

 USJは2019年に独タウバタール・フェスティバル内で開催された世界最大級のインディーズバンドコンテスト「エマージェンザ」のワールドファイナルで世界3位に入賞。山里はベストギタリストに選ばれた。そんなワールドクラスの男たちが今年、表舞台に上がってきた。

 全員1983年生まれ、石垣島出身の幼なじみだ。加勢本と山里は幼稚園が同じで家も近所。田村と福里は小学校から同じで、中学校から家も近所になった。4人がそろったのは中学校で、そこから楽器に触れ始め、同じ高校に進んだ。

 その後、田村、加瀬本、山里がそれぞれ上京したり、福里がワーキングホリデーを利用してニュージーランドに渡ったりしたが、成人式で再会し、そこから結成に至った。

 バンド名の由来を、田村は「『うるま』っていう方言がありまして、サンゴの島っていう意味があったりする。沖縄テイストたっぷりじゃなくて、突き放したようなイメージの音楽ばかりやってるけど、バンド名にそのエッセンスが少しあってもいいだろうと組み込んだ」と明かす。

 音楽性はハードロック/ヘビーメタルやヘビーロックとプログレッシブ・ロックを融合させたもの。田村は「(結成した)2000年代初頭って、ニューメタルっていう激しめの音楽がはやり始めていた時代で、スリップノットとかリンキン・パークとかコーンが全盛だった。(メンバーが)集まっていく中で、僕が山里だったり加勢本に激しめの音楽を聴かせられて、まんまと影響を受けてしまった」と説明する。

 沖縄音楽の要素は一聴すると希薄なUSJだが、1970年代に紫やコンディション・グリーンといった沖縄出身のハードロックバンドが全国的に活躍した歴史があり、田村や加勢本も少年時代からメンバーとつながりがあるという。

 加勢本は「コンディション・グリーンのギタリストのシンキさんは中2ぐらいから知り合いで、かわいがってもらいました。俺がブラスバンドでドラムやってたのをたまたま見ていて、そこから仲良くなった。ハードロックの文化、ヘビーな音楽の下地はあったね。影響を受けています」と打ち明ける。

 田村は「あの人、ギター持つと一変するよね。さっきまでホントにのんびりしてたおじさんが、ギター持つと別人のようになったのはいまだに忘れられなくて。(ステージ)袖で見ていて、(シンキが)エレキを歯で弾いていて『この人どうやって音出してんの?』って思ったぐらい衝撃を受けて」と振り返り、「そういった人たちが近くにいてくれたおかげでどうしても(ハードロック文化が)根付いてますね」と“地縁”を感じている。

 来年は全員、不惑を迎える遅咲きデビュー。加勢本は、活動を続けていく中で創造性や観客動員、経済面などの不安は「全てありました」と率直に告白。田村も「一人一人、(やめようと)思った瞬間はあったと思います」と認めつつ、「その時やめてなくて今がある。誰かが『何かしなきゃいけない』というビジョンを持っていたわけじゃないので、逆にそのことが長く続けられたきっかけじゃないかな。そういった意味ではバンドに助けられた部分がありますね」と回想する。

 メジャーからのオファーに「われわれなんかがいいんですか?」(田村)と驚いたが、「もっと多くの耳に触れていけるのも大事だな」(同)と感じ、受けたという。

 メジャーデビュー作は5曲入りEP「Reignition」。新曲「Modern Bleed」を冒頭に置き、続く4曲はバンドの代表曲をリレコーディングしたものだ。

 「(新曲は)攻撃的かつオーバーグラウンドな世界では耳なじみのない曲だったりするかもしれないが、核としてはキャッチーなボーカルメロディーを載せているので、こんな作品もできるという線引きもできたかな。残りの4曲はわれわれの歴史も感じていただけるような作品にしたかったので、現在の攻めの姿勢を崩さずに、名刺代わりとなるような作品になっているんじゃないかな」(田村)

 メジャーデビューを果たし、田村は「(音楽性が)攻撃的でホントにめまぐるしい展開なので、そういったものをリリースさせていただくことがありがたい。自分たちの中で一つの大きい、すごく攻めたラインを引けた気がしているので、その内側でもっといろんなものを出せる機会を得られた」と感謝。その上で「さらにそこから攻めてもいい」と、アグレッシブな姿勢を見せていた。

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