【野球】阪神2軍 優勝に貢献した井上広大の50打点 骨折で離脱も確かに刻んだ成長の跡

 阪神2軍は24日にウエスタン・リーグ優勝を決めた。小野寺が26日時点で打率リーグトップ。村上も10勝、防御率2・23、勝率・909でトップに躍り出ている。1軍に帯同している、小幡や島田、浜地らも高い数字を残し、3年ぶりのウエスタン制覇に貢献した。

 ただ、その中で私が忘れてほしくないのは、井上広大の50打点だ。8月20日の2軍戦で右脛骨(けいこつ)を骨折。長期離脱となった。それでも、その試合を含めて17試合連続安打。68試合に出場し、打率・267、9本塁打50打点と高卒2年目で成長の跡を見せていた。

 平田2軍監督も優勝後の取材で「井上広大の故障が一番、痛い」と悔しがった。裏を返せば、それだけ大きな期待をしていた。

 今季の井上は決して順調ではなかった。1軍キャンプに抜てきも、左膝の打撲で離脱。左肩の違和感でファームの戦線離脱もあった。実戦復帰後は「すぐレギュラーというわけにはいかない。代打から結果を出してくれないと。去年とは違う。治りました、はいどうぞではない」と2軍指揮官から試練を課せられた。

 代打から結果を求められたが「バットに当たる気がしない」とこの時、井上は極度の不振に陥っていた。シーズン前に掲げた「三振を減らすこと」はなかなかできなかった。

 それでも、貫いたのはバットを振ること。練習後には居残りで振り込み、休日もバットを持った。先発復帰すると、打順は7番から6番へと上がり、ついに4番を自らの手でつかみとった。

 2軍新記録となった18連勝。何度も4番・井上のバットが火を噴いた。8月1日・オリックス戦では8号2ラン。8月7日の広島戦ではサヨナラ打を放った。

 「4番が打てば、勝つんだよ」と平田2軍監督。とにかく、責任を負わせ、重圧をかけた。それをはねのけた結果が50打点という数字だ。規定打席に到達していない中、打点はリーグトップ(26日時点)。「チャンスの場面で打点を挙げるというのが、一番大事だと思う」と井上の言葉にも責任感が生まれていた。

 相手投手や配球、自らのスイングをとにかく研究することで、不振を脱却し、好調を長く維持した。おそらく、骨折した今でも野球の動画を見て、できる範囲でバットを振っているに違いない。

 エキシビションマッチでは、同学年の宮城から適時打を放った。1軍でもやれることは証明した。けがから回復した井上広大がまた楽しみだ。虎党が夢を見る、佐藤輝-大山-井上のクリーンアップ。50打点を挙げた2021年を井上は無駄にしない。(デイリースポーツ・今西大翔)

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