【野球】元巨人・上原浩治氏は新人時代から強烈キャラ ぜひ“球界のご意見番”に

 強烈な個性を持ったルーキーだった。歯に衣(きぬ)着せぬ発言。頑固で、一本気な性格。入団1年目で、既に“キャラ”が確立されていたように思う。巨人でプロ入りをスタートさせた上原浩治氏の新人時代の話だ。

 20年以上前に話を戻す。1999年。西武に入団したゴールデンルーキー・松坂大輔と対比される形で上原も大いに注目を集めた。2月の春季キャンプ中のことだ。当時の巨人監督・長嶋茂雄氏が、その年のオープン戦で上原と松坂の“夢の新人対決”構想を明かした。3月20日、西武ドームのこけら落としとなる一戦。屈指のエンターテイナーであるミスターらしい“演出”だった。

 だが上原は、我を通した。報道陣に夢対決について聞かれた新人右腕は、口をとがらせて一気にまくしたてた。「3月17日が(大学の)卒業式なんでチームから離れている。松坂といっても(シーズン中に)対決するわけじゃない。(興味は)ないですね。松坂に勝てても、うれしくない。(対決は)ないと思いますよ」。ここまではっきりと“持論”を展開する新人もなかなか、いない。

 結局のところ、夢のゴールデンルーキー対決は、実現しなかった。上原は浪人を経験した大卒、松坂は高卒で同じルーキーでも年齢が違う。今思い返せば、比較もされたくなかったのだろう。「雑草魂」を持ち反骨心を原動力にしてきた男。1軍の公式戦でまだ1球も投げていない2月の時点で、信念を貫いた男。そんな強いハートがあったからこそ、1年目の1999年に20勝の金字塔を打ち立てられたのだろう。

 プロ野球記者として取材し、私の場合は特に、その選手の1年目が印象に残っている。そういう意味では、ルーキーイヤーの上原には、強烈なインパクトを与えられた。昨季限りで現役を引退した上原浩治氏。個人的には評論家として、“球界のご意見番”になることを期待している。(デイリースポーツ・伊藤玄門)

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