【野球】広島の熱い日南秋季キャンプ 野手は羽月に注目、投手陣には“奪三振力”求む
11月2日から宮崎県日南市の天福球場で広島の秋季キャンプが始まる。今年のキャンプは見どころ満載だ。紅白戦は1クール2試合、最大8試合予定され、若手によるアピール合戦が繰り広げられそうだ。
佐々岡新監督は「来年の春のキャンプへの見極めになる」と競争意識を高め、「野手なら打つ、走る、元気の良さ。投手ならスピード、コントロール、キレ、何かアピールしてほしい」とサバイバルのゴングを鳴らした。
フレッシュなメンバーが顔をそろえる。小園、林、正随、羽月のルーキー組。高卒2年目の中村奨も秋季キャンプ初参加となり、同じ捕手の3年目・坂倉としのぎを削る。
個性派ぞろいの中、注目はドラフト7位から2軍のレギュラーをつかんだ羽月だ。今季ウエスタン・リーグでは89試合出場、打率・300をマークした。最大の長所である23盗塁の足に加えて、研究熱心な姿勢が好結果を呼び込んだ。
ベテラン白浜に「配球、捕手の考え方」を学び、寮では3年目の左腕・高橋昂と一緒にテレビで試合を見ながら「次どんな球を投げますか」と投手目線の考えも吸収した。シーズン後半は本気で「1軍で活躍する」と昇格を狙っていた。「自分の持ち味は足。元気を出して、全力でがむしゃらに取り組んでいきたい」と目をぎらつかせる。
投手陣は来季へ向けて先発、中継ぎの整備が急務だ。1軍の台所事情は厳しく、若手にもチャンスは広がっている。ルーキー田中法、2年目山口、遠藤、ケムナ…。もうワンランクアップへ、投手コーチに就任した横山竜士氏の指導に期待が高まる。
横山氏は就任会見で「今季は三振が少なかった。四球を減らすため、制球を意識しすぎるのではなく、どんどん攻める気持ちを持って、三振を取れる投球をしてほしい」と闘争心を求める。現役時代は先発、リリーフを経験し、けん制の達人として鳴らした。“新鬼軍曹”の鋭いまなざしに、日南の温暖な空気もピリッと引き締まるに違いない。
さらに34歳のベテラン松山が一塁本格挑戦のため志願して参加するなど、日南の秋は熱くなりそうだ。佐々岡監督は10月中旬に、みやざきフェニックス・リーグを視察。投手はもちろん、野手の現状も把握できている。来季のV奪回へ、新生カープがいよいよ動き出す。(デイリースポーツ・杉原史恭)