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【野球】オリ1位指名の興南・宮城 野球を続けさせてくれた両親への恩返し誓い、プロへ

オリックスの1位指名を受け、仲間に担がれ笑顔を見せる興南・宮城(撮影・高部洋祐)
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 人は皆、幼少期に忘れがたい体験があるだろうのではないだろうか。「一流」と呼ばれる人の過程を追うと、特にそんな原体験が影響を及ぼしている。オリックスに1位指名された興南・宮城大弥投手(18)も、そんな1人になるだろう。

 「いよいよだな」

 運命を分かつドラフトの2日前。宮城は母・礼子さんに、こんな言葉を投げ掛けた。母の目にはこの時、既に涙があふれていた。振り返れば、想像を絶するような日々だった。

 小さいころは家族4人。沖縄・宜野湾にある1K6畳の部屋に暮らした。4歳の頃だ。保育園の散歩中、小学生が公園で野球をする光景に出合った。

 「なにしてる?」

 「野球をしてるさ」

 「オレも野球がやりたい」

 そんな会話から野球人生がスタートした。志真志ドラゴンズに入部。4歳の宮城が、小学生のお兄ちゃんたちの背中を追う。最後の練習メニューは学校の外周を10周。初日だけ「泣きながら走っていた」(母・礼子さん)が、泣く姿を見たのは、ただそれだけだったという。

 だが、野球を続けられるか、どうか。生活は常にギリギリだった。父・亨さんが交通事故に遭ったことで、後遺症からなかなか定職に就けなかったのだ。母は「本当に生活が大変だったから」と涙を見せる。仕事をしながらお金をためる。

 「お金、できたけど、どうする?」

 「オレ、遠征に行きたいな」

 「じゃあ、まだ引っ越しは我慢しようね」

 寝る時でさえ、体を伸ばすことができない。父は座って寝る毎日だった。それでも2人は、息子の夢を後押しした。「ごめんね。必ず恩返しするから」。遠征に出掛ける度に、宮城は両親に誓った。

 宜野湾市立嘉数中では、硬式の宜野湾ポニーズに所属。3年生時にU-15日本代表に選出された。興南入学後は1年春からベンチ入り。夏の甲子園でも登板した。2年夏も出場。今夏は沖縄尚学に延長十三回、押し出し四球を与えて敗れた。それでもU-18日本代表に選出され、ワールドカップでは3試合の登板で防御率1・04。宮城には家族に誓った“使命”がある。

 米大リーグ・カブスのダルビッシュが、Twitterで「好きすぎる。俺あんなピッチャーになりたかったわ」と、絶賛したことでも話題になった。星稜・奥川、大船渡・佐々木、創志学園・西に横浜・及川…「高校BIG4」に注目が集まる中、奥川、佐々木、西に肩を並べる1位指名だ。最大の武器はクロスファイア-気味に、右打者の懐を突く最速149キロの直球。スライダー、カーブ、チェンジアップと変化球も豊富。それでも、「自分はまだまだ」と首を振る。

 「みんなトップレベルの投手。自分はまだまだ追い付いていない。プロで近づけるように、追い付るようにしたいと思います」

 隣に座って指名を見届けた母は、涙ながらに幼少期を思い出していた。「小さいころから、プロに入ってテレビに出て、活躍したい、と言っていました。厳しい世界。頑張ってほしいと思います」。そんなエールに、宮城も決意を新たにする。

 「たくさん迷惑をかけたので。これから恩返しをしていけるようにしたいと思います」

 守るものが、戦う理由になる。目標は元中日の山本昌さん。「自分は息の長い投手になりたい。大事な場面で投げられるように。佐々木と投げ合う機会があれば、自分が勝てるように。2年目から1軍で投げられるように頑張りたいです」。高校BIG4に対抗心をにじませ、誓った“下克上”の活躍。「いよいよ」始まる恩返しの挑戦。50歳現役を夢に見ながら、大志を抱いてプロの門をたたく。(デイリースポーツ・田中政行)

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