【野球】他人事ではない松坂のアクシデント 阪神社長「節度を持って-」

 矢野新監督になって阪神の宜野座キャンプは大きく変わったように思える。サブグラウンドからメイン球場へ選手が移動する際、ファンのもとへ駆け寄ってペンを走らせている。ドラフト1位ルーキーの近本から、ベテランの能見、そして助っ人たちも時には一緒に写真を撮ったり、握手したり-。ファンと選手が触れあえる時間は昨季までと比べて確実に増えた。

 そんな矢先、中日のキャンプで松坂がファンと接触した際、右肩の違和感を訴えたというニュース。阪神のキャンプ地・宜野座には毎年、多くのファンが詰めかけるだけに、他人事のようには感じられなかった。揚塩球団社長は「対策については現場のスタッフが考えてやってくれています」。その上で、以前にもこういう事例があったことを教えてくれた。

 甲子園球場の球場長を務めていた2003年。「確かダルビッシュ選手だったと思います。ファンの方から手を引っ張られて、わき腹を痛めたのを覚えています。やっぱり選手も無意識なので、その時に腕を引っ張られたりすると、余計にアクシデントが起こる可能性が高くなってしまう」と当時を振り返る。

 記事のデータベースを調べてみると、確かにダルビッシュが2年生の時に出場した第75回センバツ高校野球で事件は起こっていた。開会式後にファンから腕を引かれ、右わき腹を痛めて全治2週間程度のケガを負ったとある。翌年から選手の入退場の際には、警備員が増員される事態となった。

 プロ野球の現場で取材をしていると、憧れの選手と握手したファンが涙を流して喜ぶシーンを何度も目にしてきた。有名選手にサインを求めて駅の新幹線ホームになだれこんだ人が、ぶつかって押してしまい、その選手が線路に転落しそうになる場面もあった。

 ファンと選手の距離-。揚塩社長は「非常に難しい問題ですが…」と前置きした上で「ファンの方が興奮する気持ちもわかります。握手しただけで泣いている人も見たことがあります。でもそこはやっぱり、節度を持って接していただければと思います」と語った。

 多くのファンに支えられて発展してきたプロ野球。今後は各球団で具体的な策が講じられるとみられるが…。“節度”という2文字が、ファンにとっても選手にとっても、不幸にならないキーワードのように思える。(デイリースポーツ・重松健三)

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