【野球】阪神・北條の飾らない優しさ 入団1年目から続ける取り組み

 心を動かされた。阪神・北條史也内野手(24)が2018年度の「若林忠志賞」を受賞した。同賞は継続的に社会貢献活動やファンサービスに取り組み、野球人として優れた見識を持つ選手を表彰するため、2011年度に球団が創設。これまで岩田、鳥谷、能見らが受賞してきた。

 北條は入団1年目から、地元の大阪府堺市にほど近い大阪母子医療センターのクリスマスパーティーに参加。障害者入所施設などにも訪問している。表彰された際の言葉は「毎年行っている母子医療センターは僕の地元にあります。みんな喜んでくれたり笑顔を見せてくれたり。しっかり活躍して、元気や勇気を与えられたらと思っています」だった。

 私事で恐縮だが、8歳で亡くなった2歳下の弟は小児がんの治療で幼少の頃から長く入院していた。北條が訪問を続けている大阪母子医療センターと同じく、重い病気と闘う子供たちが入る病院だった。

 学校にも行けない、好きなスポーツもできない、外で友達とも遊べない-。全てを我慢して、小さい体で懸命に病気と闘う。そんな日々を過ごす中、憧れの存在であるプロ野球選手と交流することは、明日を生きる上での活力になるだろう。

 北條は「僕が(子供たちに)何かをやってあげているという気持ちは全然ないですよ」という考えだ。「(プロ)1年目にとりあえず行ってみて、そこから。(1年に)1回行っているだけ、本当にただ行っているだけなんで」。淡々と率直な思いを口にした。

 北條が1軍に定着し始めた16年シーズンのオフ、母子医療センターへ取材に訪れたときのこと。北條は「今年以上の活躍を見せたい。全試合に出るということをやっていきたい」と目標を掲げ、クリスマスパーティーでは子供たちと「赤鼻のトナカイ」を照れくさそうに歌っていた。

 そのときの子供たちの笑顔が今でも脳裏に焼き付いている。勝ち気な性格の裏にある、北條の「飾らない優しさ」を見た。(デイリースポーツ・山本航己)

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