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【野球】カープ暗黒時代を知る名物アナが引退「胴上げ実況がないのが心残り」

現役引退後に中国放送の解説者となった佐々岡氏(右)と長谷川アナウンサー=2010年6月
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 マツダスタジアムが揺れた。5月30日、中断時間を含め5時間1分(試合時間4時間25分)と長い試合だった広島-西武戦。広島が延長十回、3点のビハインドをひっくり返しサヨナラ勝ちを収めた。テレビ実況でこの勝利を伝えた中国放送・長谷川努アナウンサーは、格別な思いでマイクの前に座っていた。

 プロ野球実況歴30年のベテランアナは、社内業務に専念するため、この試合を最後に実況から引退を決めていた。夕方の情報番組で後輩アナが告知したのみで、試合ではいつもと変わらぬ名調子の実況を貫いた。区切りの試合が終わり「私がしゃべると長いゲームが多かったんです。集大成というか、私らしい最後の仕事でした」と振り返った。

 1989年にラジオでカープ戦全試合を中継する中国放送に入社。ラジオ、テレビを合わせ1000試合近くカープ戦の実況を担当したが「胴上げ実況だけがないんです。それが心残りですね」という。若手だった91年の優勝時は球場にいたものの実況席には先輩アナが座っていた。25年ぶりの優勝を果たした2016年が最大のチャンスだった。優勝が近づくとベテランの後輩アナと交互に実況を担当。しかし、長谷川アナが担当した試合では優勝が決まらなかった。

 後進に道を譲る形で実況席を離れるが、全盛期には主催試合の半分以上の試合を実況してきた。長きにわたって広島のエースアナウンサーとして活躍したが、当時のカープは17年連続Bクラスという暗黒時代でもあった。「いっぱい取材して試合展開とは関係がない話もしましたね。それはそれで盛り上がりましたけど」と暗黒時代の苦労も口にした。それが常勝チームとなり「最近は試合で盛り上がってくれる。カープは逆転するものという感じで」と試合展開を追うことによって盛り上がりを見せる。

 カープとともに苦楽を共にしてきた実況生活で会心の試合は、99年5月8日・中日戦(旧広島市民球場)だという。佐々岡真司(現2軍投手コーチ)がノーヒットノーランを達成した一戦。「いいゲームで、それまで実況で使ったことがない言葉が次から次へと出てきたんです。アナウンサーというのは、準備をしてしゃべるんですが、あのときは練習でも出てこない言葉が出てきました。輝かしい記録とともに私もアナウンサーとしてレベルアップさせてもらった一戦です」と振り返った。

 カープ創生期にエースとして活躍した長谷川良平氏(故人)と初めて実況席に座ってから30年。最後は横山竜士氏とのコンビで締めた。今後はカープの躍進を伝える後輩アナを社内で見守っていく。(デイリースポーツ・岩本 隆)

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