【野球】カープ元守護神の現在地 オフに手術、復活を期する永川の16年目

 今年のプロ野球は3月30日に開幕。広島・永川勝浩投手(37)にとってプロ16年目は特別なシーズンだ。昨年は1軍登板なし。9月下旬に左膝のクリーニング手術を受け、現役続行を決断。現在は廿日市市内の大野練習場で、黙々と汗を流し、実戦復帰を目指している。

 「投げるのは普通に投げられるようになってきたけど、細かい動きがもうちょっと。切り返しとか。完璧にしないとダメなので」

 取材に訪れた当日のブルペンは手術明けと思えないほどの迫力だった。左足をポーンと上げる独特のフォームは今も健在。直球、ツーシーム、カットボール、フォークをコースに投げ分け、心地いいミット音を響かせる。投球練習を近くで見ていた2年目の床田が「めちゃめちゃコントロールいいですね」と思わず声をあげたほど。ただ、すべてが順風満帆ではないようだ。

 「良かったり悪かったり、いろんな日がある。今日は良かったけど、この前の日曜日は悪かった。何かつかんだと思ったら、新しい課題が見つかったり」

 ブルペンでは一進一退を繰り返しているという。それでも野球への情熱は燃えさかったまま。練習後には菊地原3軍投手コーチ、ブルペン捕手らと熱心に話し込む姿があった。

 「気持ちは誰よりもうまくなりたいと思っている。この歳になっても技術を上げたいと思ってやっている」

 今年チームはリーグ3連覇を目指す。開幕を前に、広島の新聞、テレビはカープ一色。そうしたニュースに触れる度「今シーズンも始まるな」と思うと同時に「自分が野球をやるのはここだ」と決意を新たにするという。

 「契約してもらって球団に恩がある。クビを切らないで、戦力として考えてくれた。恩を返さないといけないと思ってやっている」

 実戦マウンドは近いようで遠い。もどかしさを抱えながら永川は言う。「アップにさえ入れたら試合で投げられるんだけど。手術を受けてもう半年。1年は早い。(野球シーズンの)6カ月のタイムリミットもスタートする。ちゃんと走れる状態にして、思い切り練習できるようになってから上がりたい」

 不退転の覚悟で臨む1年が始まる。最後は「仙豆(せんず)があればいいのにな」と笑った。(デイリースポーツ・杉原史恭)

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