【野球】開幕ローテつかんだ阪神の2年目右腕、小野泰己 7連敗からの進化
阪神の頂点をかけた戦いへ、カウントダウンが始まった。拭い去りたい昨季の悪夢。プロ2年目の男の成長が鍵となる。「去年の7敗を、ポジティブに考えられるようにしたい」。開幕ダッシュをかけるローテ陣には、不動のエース・メッセンジャー、昨季12勝のチーム勝ち頭・秋山、誰もが復活を願う藤浪…。そしてその一角に抜てきされたのが小野泰己だった。
競争と位置づけられた戦場を、実戦26イニング無失点という好成績で完走。点をやらなければ敗北はない。積み上げたいくつもの0が、開幕ローテを強い力でたぐり寄せた。揺るぎない結果。その要因を『気持ち』と、小野は迷いなく明かす。
「去年と比べて落ち着いて投げられている、ピンチになっても慌てることなく投げられているとは思う。去年15試合投げた経験とここまでなんとか抑えていることが自信になっているんだと思います」
7連敗。小野のプロ野球人生はここから始まった。新人の開幕からの登板としてはワースト記録。不名誉な記録ばかりがついて回った。当時を「負けが続いてくるとまたかと。不安の中で投げるピッチングになっていたと思います」と回顧する。プロの世界とはこんなにも苦しいのか…。それほどまでに遠い白星。23歳の背中には、目を背けたくなる現実だけがのしかかっていた。
そんな小野もプロ2年目を迎え、後輩もできた。若い力の台頭に加え、新戦力。それは同時にライバルも増えたということでもあった。2桁勝利、143イニング。狙いたい目標はたくさんある。それでも「去年7敗という経験から、同じことをしてはいけないと思う」と小野。悩んだ末に掲げたのが、1年間ローテーションを守り続けることだった。先発として試合をつくり、一つ一つ積み重ねていく。全てを『1年間ローテーションを回る』ことに集約させた。負け続けたときの精神状態、勝ったときの喜び。それが自分自身にしかわからない経験から導き出された答えだった。
少ない枠を狙う競争期は幕を下ろし、選び抜かれた5人の中に入った。「同じチームの先発ピッチャーには負けたくない」と負けず嫌いの一面をのぞかせる。スタートダッシュには成功した。成長、その先にある進化。それにはあの7連敗という苦しさなくては、成し得なかったと証明するために-。「負けているからこそ思い出にはしない。いい経験にするんです」。新しく始まる一日を前に、少しだけ笑った。(デイリースポーツ・松井美里)




