【野球】仙さんの遺志継承-久米島で小学生の肘検診 楽天が異例の取り組み

 楽天が球界でも異例の取り組みを行っている。1次キャンプ地の沖縄・久米島で4日、地元の野球チームに所属する児童らを対象にチームドクターによる「肘検診」が実施された。けが防止の観点から野球人口の減少に歯止めをかけるのが狙いで、1月に急逝した星野仙一球団副会長(享年70)が生前に訴えていた野球普及への思いを体現するものでもあった。

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 星野副会長がすい臓がんでこの世を去り、1カ月以上がたつ。2次キャンプを張る金武町ベースボールスタジアムでは、13日から2日間、献花台が設けられ、大勢のファンが花を手向けた。

 闘将の面影は、キャンプ地のあらゆる場面で今なお生き続けている。そう感じさせられたのが、1次キャンプ地、久米島でのイベントだった。

 島の野球少年約70人を対象に、チームドクターによる肘検診が行われた。テーマは子どもたちのけがの早期発見と予防。もっと言うと、将来的な野球人口の確保だ。松永武士トレーナー(31)は「故障で夢を断念してしまう子を、1人でも減らしたい」と話した。

 医師が超音波で肘をチェック。異常が発見されれば紹介状を出し、クリニックでの診察を勧める。けがを防止するストレッチ法も伝授され、保護者には栄養士による食事アドバイスも行われた。

 昨年に続き2度目の開催。野球の普及活動と言えば選手による野球教室が一般的で、キャンプ期間中も各地で地元の子どもたちを対象に行われる。だが、楽天のような試みは、ほかに類を見ないだろう。

 野球人口の減少に歯止めをかけ、底辺を拡大する。「子どもたちにいかに野球をやらせるか。全国津々浦々に、子どもが野球ができるような環境をつくってやりたいというふうな夢を持っています」と、それを最も声高に、そして痛切に訴えていたのが星野副会長だった。けがを未然に防ぐという視点からのアプローチで、楽天はその遺志を受け継いでいる。

 「星野さんとともに戦う」。今キャンプ、そして今シーズンの合言葉でもある。志半ばで旅立った星野副会長の壮大な「夢」を、野球界の使命として全力で継いでいく。(デイリースポーツ・福岡香奈)

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