【芸能】西野カナ 涙の理由…レコ大受賞でも涙なし

 歌手の西野カナが8月26日に京セラドーム大阪で、自身初のドーム公演を行った。1989(平成元)年3月18日生まれの28歳。平成生まれの女性歌手としては初のドーム公演となり、「ギリギリ平成に生まれて、ラッキーだなと思いました」とおちゃめに歴史的ステージを喜んで、クライマックスでは感極まって涙をこぼした。

 日本の音楽シーンを振り返ると、ドーム公演の歴史は88年4月、美空ひばりさんが両側大腿骨骨頭壊死(えし)などで再起不能と言われながらも、東京ドームで開催した「不死鳥コンサート」から始まった。日本人女性歌手によるドーム公演は、西野で10人目。先月26、27日に大阪公演をこなし、今月23、24日には東京ドーム公演も控える。東阪2大ドームを制するのは、安室奈美恵、浜崎あゆみ、矢井田瞳、MISIAに続く、日本人女性歌手5人目の快挙だ。

 西野は2008年2月、シングル「I」でデビュー。将来性を見込まれ、同年秋には世界的歌手のシンディ・ローパーの来日公演で、オープニングアクトに抜てきされた。自身で作詞を手掛け、乙女心を歌った歌詞は女子中高生から圧倒的な支持を集めた。「配信の女王」として、累計ダウンロード数は5500万を突破している。

 昨年12月30日には「第58回日本レコード大賞」の大賞に選ばれ、平成生まれのソロ歌手として初の受賞となった。発表直後のステージでは、受賞曲「あなたの好きなところ」を笑顔で熱唱。レコ大では受賞者の“感涙唱”が定番シーンでもあるが、西野は涙を見せなかった。生中継を終え、泣かなかったことを舞台裏でツッコまれると、「歌うことに必死で」と返していた。こみ上げる“感情”よりも、プロ歌手としての“使命”を優先させた結果だろう。

 昨年末にレコ大と日本有線大賞の2冠を達成し、デビュー10年目の西野は名実共に“新時代の歌姫”となった。勢いそのままに乗り込んだ夢舞台のドーム。大阪公演初日の終盤、満席の3万5000人の前で歌手人生を述懐した。

 「10年、今日までのことを振り返ってみると、いろんなことがあったなぁと思って。いいときばかりじゃなくて。『こんなん、できやん(できない)。無理』と思うとき、みんなからの言葉が私のパワーになって、やる気が出るの。みんな、本当にありがとう。みんなにいっぱいもらったものを返せるよう、素敵な音楽を作っていきたいと思います」

 8カ月前のレコ大受賞時には見せなかった涙が、ドームでファンに感謝を伝えるうちにあふれ出た。瞳をぬらす熱いものを、何度もぬぐった。この場面、レコ大での“ノー涙”を知る関係者は、「泣くとは思ってませんでした」と驚いたことを明かす。

 18歳でデビューした西野は、地元の三重に近い名古屋の大学に通いながら、仕事では新幹線で何度も東京まで往復。学生と歌手の二足のわらじを履き、大ブレークまでたどり着いた。同関係者は「ドーム公演では昔の曲も歌っていたので、学生時代に人知れず苦労していたことが、よみがえってきたんじゃないかな。いろんな思いがあったんでしょうね」と察する。

 レコ大の栄冠を手にしたときには、プロ歌手としての“現在”を意識し、歌唱に集中していた西野。ドームでは“過去”を思い返したことで、涙を抑えることができなかったようだ。ただ、感慨にふけったのはトークシーンのみ。歌唱中はしっかりとした歌声を響かせ、プロ歌手の責務を果たしていた。

 (デイリースポーツ・丸尾匠)

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