【スポーツ】世界王者・久保隼の呪縛を解いた村田諒太の言葉

 ボクシングWBA世界スーパーバンタム級王者の久保隼(27)=真正=が9月3日に島津アリーナ京都で同級2位ダニエル・ローマン(27)=米国=との初防衛戦に臨む。王座奪取より難しいとされる初防衛戦を控えても、「いつも通りやるだけ」と重圧とは無縁の表情を見せる久保。現在の境地に達するまでには、南京都高(現京都広学館高)、東洋大の先輩でロンドン五輪ミドル級金メダリスト村田諒太のある言葉があった。

 13年5月のプロデビューから連勝街道を歩み、15年12月に東洋太平洋王座を奪取した久保だったが、16年5月の初防衛戦では12回判定までもつれ込む苦闘を演じた末、何とかベルトを死守。同年11月の2度目の防衛戦では4回TKO勝利を収めたが、「世界戦までは負けたくない」という思いから、手足が重圧に絡め取られてしまった。

 そんな時、久保はあるテレビ番組で村田の言葉を耳にする。「プレッシャーなんて自分が作り出した幻影でしかない。他人は(自分のことを)そんなに気にしてない」。東洋大時代には自分自身に重圧を懸け過ぎたあまり、ボクシングに嫌気が差して一度は辞めた経験がある。だが、村田の言葉を聞いて「自分は一度辞めてるし、負けて失敗して当然。好きなようにやろう」とプレッシャーの呪縛から解き放たれた。

 17年4月には世界初挑戦でセルメニョ(ベネズエラ)を11回TKOで下し、王座奪取とともに無敗も守った。負けることが怖い-。「そういう感情を持つことができるのも現役選手の間だけ、それすらも楽しめるようにならなあかんなと思います」と力を込めた。

 アスリートがよく口にする「楽しむ」という言葉。ただ、久保は耐え切れない重圧から逃れようと発するのではなく、恐怖や重圧と向き合い、それを認めた上で「いつも通り楽しむ」と言い切る。決して最初から負けを受け入れているわけではなく、「いろんな人の思いを背負った上で、自分のために戦いたい」と相応の覚悟も持つ。初防衛戦の重圧にも必ず打ち勝つはずだ。(デイリースポーツ・山本直弘)

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