【野球】センバツVは神宮敗れた強豪?

 球春到来を告げる選抜高校野球大会が20日に開幕する。紙面で有力校を挙げて優勝候補を予想することがあるが、センバツは難しい。地方大会からすぐに甲子園に戦いの場を移す夏に比べ、春の参考にするのは秋の戦いぶり。ひと冬の球児の成長は、勢力図を大きく塗り替えてしまうことが少なくない。

 センバツの優勝候補には常連校に加え、前年11月に行われる明治神宮大会を制したチームが人気を集めるケースが多い。全国10地区の王者が集まる大会。、そこで勝つことは地力の高さの証明といえる。しかし、センバツも勝って“秋春連覇”を成し遂げるのは、実は至難の業だ。

 平成以降では、97年秋↓98年春の横浜(神奈川)、01年秋↓02年春の報徳学園(兵庫)の2校のみ。横浜は松坂大輔(現ソフトバンク)を擁してそのまま甲子園春夏連覇も達成したいわゆる“最強世代”。報徳学園も大谷智久(現ロッテ)が全5試合で完投した。両校とも、後にプロでも活躍する逸材がフル回転した結果だった。

 明治神宮大会で勝つと、どうしても他校のマークが厳しくなるのは否めない。09年以降の優勝校のセンバツの成績は、1校が準優勝、3校が4強、1校が8強。好成績は挙げているものの、頂点には立てていない。

 一方、最近3年のセンバツ優勝校には共通点があった。13年の浦和学院(埼玉)、14年の龍谷大平安(京都)、15年の敦賀気比(福井)はすべて秋の地区王者。そして、出場した明治神宮大会は、いずれも初戦を突破しながら準々決勝で敗れていた。

 このデータを目にした際、浦和学院を取材した時のことを思い出した。明治神宮大会では、春江工に最大5点リードを引っ繰り返されて敗退。その記事を食堂やグラウンドなどさまざまな場所に張り、悔しさを忘れないようにして冬場の猛練習に耐え、翌春のセンバツ制覇につなげた。エースの小島和哉(現早大)が、秋の屈辱的な逆転負けを「チームが一番成長した試合。油断していた」と、振り返っていたのが印象深い。

 そんなケースを見ていると、地力のあるチームは、秋の敗戦を経験することでより課題が明確になり、春までの伸びしろも大きくなるのではと感じる。ちなみに今センバツに出場する昨秋地区王者で、明治神宮大会で初戦を突破しながら、優勝に届かなかったのは、東邦、札幌第一、敦賀気比、青森山田、大阪桐蔭の5チーム。東邦・藤嶋健人、敦賀気比・山崎颯一郎、大阪桐蔭・高山優希ら、ドラフト候補のエースを擁するチームも多い。

 最近の傾向も踏まえた上で、いくつかのチームの戦いぶりも取材した個人的な予想としては、東邦、大阪桐蔭が優勝までの最短距離にいるとみている。秋の悔しさをバネにした強豪か。それとも明治神宮大会王者の高松商がジンクスを打破するのか。はたまた伏兵が一気に頂点に駆け上がるのか。紫紺の優勝旗をかけた熱戦が、もうすぐ始まる。(デイリースポーツ・藤田昌央)

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