【スポーツ】新エンブレム巡り課題山積

 アートディレクター・佐野研二郎氏のデザインが白紙撤回となった20年東京五輪・パラリンピックのエンブレムを新たに選び直すための募集要項が決定した。応募は東京2020大会の公式サイトで、インターネットのみでの受付。期間は11月24日の正午から、12月7日の正午までとなった。

 「出来レース」と批判された前回の反省を生かし、応募資格では応募者の受賞歴などは問わず。18歳以上で日本国籍及び日本在住の外国籍を持つ人とした。ただ、個人だけではなく、グループでの応募も認め、年齢・国籍の条件は代表者のみがクリアしていればOK。グループ(1グループ10人以内)ならば子供や外国人の参加も可能になった。作品は描画ソフトで作成したものに限り、手書き作品をスキャンしたものや、写真に撮ったものは不可となった。

 ただ、一方で早くも課題は山積みだ。応募要項を決定したエンブレム委員会は、前回の佐野研二郎氏が“盗用疑惑”をもたれて誹謗中傷にさらされたことを受けて、当選者の氏名公表、タイミングについては本人と相談の上で決めるとし、非公表でも可能とした。

 委員長を務めた東京芸大の宮田亮平学長は「これにより人格を保障する」と説明したが、募集要項上では佐野研二郎氏が匿名で応募することが可能になっており、ネット上では懐疑心が渦巻いている。当選者が氏名の非公表を希望した場合、その疑念を払拭できるかどうかがポイントになる。

 また、今後の焦点となってくるのは、応募作品の絞り込み手順。すでに応募要項のダウンロード数は1万件を超えており、多数の応募が予想される。

 エンブレム委員会は前回の騒動の反省から、審査のオープン性を確保するために、国民に参画してもらう仕組みを検討中。ただ、インターネット投票などのために審査段階の作品を公表する場合、第三者に勝手に商標登録される危険性があるため、公表作品は商標登録をしてから発表しなければならない。費用面やスケジュール面でクリアすべき課題は多い。

 新国立、エンブレムとゴタゴタが続いた東京五輪。この先も、まだ未発表の大会マスコットなどさまざまな発表ごとを抱える中、まず新エンブレムで国民の理解を得られるものを選べるか。大会関係者の手腕が問われることになる。

(デイリースポーツ・大上謙吾)

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