デイリースポーツサーフィン担当が明かす 夢破れても、五十嵐カノアもうひとつの夢は達成された
「東京五輪・サーフィン男子・決勝」(27日、釣ケ崎海岸サーフィンビーチ)
競技初の銀メダリストの目を涙がつたった。東京五輪新種目のサーフィンで、男子決勝は日本エースの五十嵐カノア(23)=木下グループ=は、19年世界王者のイタロ・フェレイラ(ブラジル)に敗れ、銀メダル。目標だった金メダルには届かず涙に暮れた。女子は都筑有夢路(あむろ、20)が銅メダルを獲得。台風8号の影響で荒れ狂う海で、日本勢2人が表彰台に登った快挙だった。
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涙を流しながら砂浜に頭を打ちつける五十嵐カノア(23)=木下グループ=の姿に、私の目頭まで熱くなった。これぞトップアスリート。感謝の心も忘れなければ、報道陣の前では日本語だけでなく英語とポルトガル語などの複数言語で“神対応”してくれた。
日本代表となり、日本語も上達。五輪前には流ちょうな日本語で「プレッシャーで眠れない日もあった」と明かしてくれた。
サーフィンを世界中に広めたいと願って挑んだ夢舞台。決勝の熱戦に、ツイッターでは「サーフィン」や「五十嵐カノア」がトレンド入りした。
この熱狂ぶりに「ファンが増えたと思えるだけでも本当にうれしい」と、五十嵐は少しだけ顔を明るくした。夢破れても、もう一つの夢は達成していた。(デイリースポーツサーフィン担当・田中亜実)