【サイドストーリー】佐藤綾乃の運命を変えた高木美帆の言葉「綾乃と一緒にやりたい」間近で感じた先輩のすごみ「中途半端な気持ちがダメ」
「ミラノ・コルティナ五輪・スピードスケート女子団体追い抜き・3位決定戦」(17日、ミラノ・スピードスケート競技場)
日本(高木美帆、野明花菜、佐藤綾乃)は米国との3位決定戦に勝ち、銅メダルを獲得した。同種目でのメダル獲得は3大会連続。エース高木は自身4度目の五輪で通算10個目のメダルを獲得した。
佐藤にとって高木は、運命を変えてくれた人だった。平昌五輪、北京五輪、そして今大会と、2人はともに戦ってきたが、佐藤は北京五輪後の3年間、「ミラノを目指したい気持ちと、やる気がなかなか入らない。正直、ちょっと厳しいかもって思っていた」とモチベーションが上がりきらない時期があった。心は葛藤の中にいた。
そんな中、転機を与えてくれたのが高木だった。ミラノ五輪金メダルを獲得するために23年5月に結成した「チーム・ゴールド」への誘い。佐藤は「『練習するなら、綾乃と一緒にやりたい』と言ってくれた。それが初めて、ある意味、良いライバルとして捉えてもらっていると。一番うれしかった」。憧れの先輩が自分を頼りにしてくれたことは、再び五輪の舞台を目指す闘志となった。
たくさんの刺激を受けてきた。同じチームで練習を始めてから、高木の一挙手一投足をより近くで観察するようになった。「私は避けたり、感覚で良いと思ったりする小さいことでも、真摯(しんし)に向き合う姿勢は美帆さんからしか感じることができない」。スピードスケートは高木の人生そのもの。それを間近で強く感じ、「中途半端な気持ちがダメ」と改めて思った。
今大会が「オリンピックは私の中で最後になるものだと思っている」と言う。気が付けば、3大会の五輪でメダルは“コンプリート”。「長い間一緒にやってきて、ずっと引っ張ってくれた」と感謝する。高木を後ろからプッシュする役割で「ずっと美帆さんのお尻しか見てこなかった」と笑い飛ばしながらも「私のことを気にかけながら、アドバイスしてくれた」しみじみと回顧した。
高木も、佐藤への感謝があった。団体追い抜きに出場するようになり、その思い出の多くには佐藤がいる。「私が走れるようになってから3大会、ずっと一緒にやってきたと考えると、感慨深い。安心して後ろを任せられる」。2人の間には知らず知らずのうちにできた、深い信頼関係があった。
「チーム・ゴールド」に入ってからも、悩む日はあったと佐藤は言う。しかし、集大成とするミラノ五輪の舞台を迎えれば、メダルを手にすることができた。「(高木は)チームパシュートをやるにあたって欠かせない存在」。競技人生のレールの続きをつくってくれた高木と、再び輝く景色を見た。
