【五輪サイドストーリー】平野歩夢 ゴーグルに刻んだ「命」の意味
「ミラノ・コルティナ五輪・スノーボード男子ハーフパイプ・決勝」(13日、リヴィーニョ・スノーパーク)
4大会連続出場で22年北京五輪金メダリストの平野歩夢(27)=TOKIOインカラミ=は86・50点で7位に終わり、4大会連続のメダル、冬季五輪では日本勢2人目、フィギュアスケートの羽生結弦さん以来となる2大会連続金メダルはならなかった。それでも大会直前の骨盤など複数カ所の骨折から27日、驚異的な回復力と執念で王者の誇りを刻みつけた。
平野歩が着用しているゴーグルのバンド部分には「命」と刻まれている。オークリーから発売したシグネチャーモデル(特別仕様の冠製品のこと)で、知り合いの書道家に頼んでまで入れてもらった。この文字には多くの思いを込めている。
華のあるダイナミックな競技性とは裏腹に、危険とも隣り合わせのハーフパイプ。幼少期からけがは日常茶飯事で、内臓破裂や骨折など生命に関わるケガを平野は、これまで乗り越えてきた。
「すごい好きな言葉の一つで、自分がそれをかけてスノーボードをして、どこか生きさせてもらってる気持ちがあった。年を重ねて命の深まり方だったり、海外遠征も多くて無事に帰ってこられる保障がない中で、自分のスノボーに対する思いは強かった」
15歳で初出場して銀メダルを獲得した14年ソチ五輪。そこからトップライダーとして世界をけん引しているが、そのためには人のまねではなく、自ら新しいものを作り出していかなければならない。優勝した北京五輪で世界初成功させたトリプルコーク1440もその一つ。トップを守り続けるために常に“命”をかけてきた。
「新しいことにトライする時ときは、命の危険を感じても足が震えたり、心臓が動いている音が聞こえたり。この競技生活をしている以上いつどこで命を落とすか分からないぐらいのレベルまできている。いつそうなってもいいように悔いなく命を懸けていく思いは覚悟しないと続けていられない世界」
25年末には第1子誕生を発表。「新しい自分の人生がまた始まった」と表現し、そこでも命に対する気持ちが深まったという。
迎えた今回のミラノ・コルティナ五輪。開幕1カ月前に骨盤骨折を含む大けがを負ったが、驚異の回復力で勝負の舞台に立ち、そして予選と決勝を滑りきった。文字通り人生をかけて打ち込んできたスノーボード。その結晶を4度目の夢舞台で体現した。
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