小平奈緒 涙の金 スピードスケート日本女子初!大本命の重圧耐え低地史上初36秒台

 「平昌五輪・スピードスケート女子500メートル」(18日、江陵オーバル)

 女子500メートルが行われ、1000メートル2位の小平奈緒(31)=相沢病院=が36秒94の五輪新記録で、日本女子スピードスケート初の五輪金メダルを獲得した。スピードスケートの日本選手による同一大会複数メダルは、98年長野大会の清水宏保、今大会の高木美帆(日体大助手)に続き3人目。李相花(韓国)の3連覇を阻み、日本の冬季大会通算12個目、冬季五輪の日本選手団主将として初の金メダル。今大会の日本のメダル数は最多だった長野大会の10に並んだ。

 見たかった「36」という数字、そして頂点からの景色。思い描く全ての夢を小平がかなえたその瞬間、大きな瞳はみるみる潤んでいった。最高の景色は「涙でかすんでほとんど見えなかった」というが、ぼやけたその景色こそ、求め続けてきた光景そのもの。タイムの出にくい低地リンク史上初の36秒台で金メダルを手にし「本当にうれしい」と目を赤くして感慨に浸った。

 結城匡啓コーチ(52)と二人三脚でつかんだ頂点だ。出会いは13年前、長野五輪で金メダルを獲得した清水宏保さん(43)に憧れ、同氏を教えていた結城コーチの門をたたいた。

 コーチが指導する信州大の受験日は「人生最大に緊張した」。前日の夕食は全て吐くほどガチガチだった。練習は全てが新鮮な日々。動作解析など、学術的な理論も取り入れたトレーニングは刺激的だった。

 授かった物は計り知れない。「世界一の指導者。スケートについて語るなら結城先生」。信頼する師と共に練り上げたのが、オランダ流と韓国流をミックスした独自のフォームだ。14年から行った2年間のオランダ留学の間に上半身を起こすオランダ選手の滑りを試した。

 しかし、「体の大きなオランダ人と同じことをしても勝てない」。腰が浮き、空気抵抗にも負けた。そこで李相花らのように下半身を下げると「つながってきた」。自身にぴったりのフォームを確立した。

 異国での生活を経て滑りのみならず、物の考え方までもが「全然違う人になっていた」と結城コーチは振り返る。神経質だった小平が、逆に「なんとかなりますよ」と結城コーチを励ますようにもなった。

 きっかけは、父・安彦さん(62)からもらったメール。「奈緒の人生は神様がくれたもの。悔いのないように思う存分使いなさい」-。どんな生き方をすべきか、自身に問いかけた。この日も緊張気味の結城コーチの横で、小平は「バクバクご飯を食べていた」と同コーチ。達観したメンタリティーで決戦に臨んだ。

 「戦うべきは順位ではなく自分自身」。レース後も小平はそう話したが、目指してきた滑りを体現してつかんだ金メダルは格別だ。究極の求道者が、3度目の五輪にしてついに最高の輝きを手に入れた。

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