日またぎジャンプに極寒地獄…疑問の残る開催時間 表彰式には観客おらず

 あまりにも厳しい環境だった。平昌五輪のジャンプ男子ノーマルヒルが10日に、平昌のアルペンシア・ジャンプセンターで行われた。ジャンプが人気の欧州の好時間帯に合わせるかのように、午後9時35分からのスタート。しかし、ただでさえ夜間で一気に冷え込み、マイナス10度を下回る極寒の中、強烈な風が吹きすさび、体感気温はマイナス20度近くに低下。過酷な寒さが選手や観客を襲った。強風の影響で、たびたび競技は中断。競技終了は予定していた11時20分よりも1時間遅れ、日付をまたいだ0時19分に終了した。

 選手たちはジャンプ台の上で、係員に毛布を掛けてもらって暖ををとった。21位に終わった葛西紀明は苦笑いで振り返る。「(寒さは)もう信じられないぐらい。風の音がすっごいんですよ。気持ちが怯むぐらい。ブワーって。W杯でもほぼない条件。“こんなの中止でしょう”ってちょっと心の隅で文句いいながら寒さに耐えてました」。7位入賞を果たした小林陵侑も「足先が凍るかと思った」。

 日本勢だけでなく、海外勢でも五輪2大会で2冠に輝いたシモン・アマン(スイス)は、風の条件が整わず何度もスタート位置についたり外れたりを繰り返した。もともと変則的な風が吹くことが指摘されていた同地。ジャンプ台を囲うように防風ネットも設置されているが、それでも防ぎ切れていない。

 開幕前の8日に行われた予選では、地元韓国の観客を中心にまずまずの観衆だったが、この日は関係者の多いスタンドを除けば、まばらで寂しい客入り。0時30分過ぎに行われた表彰式の頃には誰もいなくなっていた。誰のための開催時間なのか。会場の雰囲気を問われた葛西は寂しそうに言った。「ちょっとあんまり良くなかったかな」-。

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