田知本、姉と一緒に勝ち取った金メダル「最高の気持ち」

 「リオ五輪・柔道・女子70キロ級・決勝」(10日、カリオカアリーナ)

 前回ロンドン五輪7位の田知本遥(26)=ALSOK=は決勝でアルベアル(コロンビア)に一本勝ちし、今大会の日本の柔道女子で最初の金メダルを手にした。同階級での優勝は、08年北京五輪で2連覇を果たした上野雅恵以来。

 表彰台でもらったばかりの金メダルを、田知本は「あげる」と言って、その人の首にやさしく掛けた。相手は、スタンドで声をからして応援してくれた姉、愛だった。時に励まし合い、時にぶつかり合いながらも、ずっと一緒に柔道をしてきた。姉は78キロ超級で五輪を目指したが、かなわなかった。姉妹の夢だったオリンピックの金メダル。

 「心臓が飛び出るかと思った。うれしい」と感涙にむせぶ姉の姿をみて、冷静に振る舞っていた田知本の目からも涙がこぼれ落ちた。

 アルベアルとの決勝。指導でリードを許す展開にも、焦りはなかった。「自分の柔道を出して終わろう。技に気持ちを乗せよう」と攻め抜く姿勢を貫き通した。技の打ち合いから、谷落としで技ありを奪い、横四方固めに入った。合わせ技で一本勝ちした。

 畳の上で目を閉じ、この4年間に思いを巡らせた。「本当に苦しいことが多かった。でも、きょうの日のためにあったのかな」-。

 ロンドン五輪では7位。その後も結果を出せず「これ以上勝てなかったら、自分の中で終わりだな」と、引退を覚悟して臨んだ14年の講道館杯で優勝。「神様が私に『また五輪を目指せ』って言ってるんだ」と、再起を目指した。

 15年2月、今度は遠征先で、ドーピング違反の物質を含む風邪薬を飲む失態を犯した。軽はずみな行動で、強化選手指定の解除という処分を受けた。このときも、そばで励ましてくれたのが姉だった。

 姉は五輪の最終選考会で敗れて落選し、膝に大けがも負った。無念は誰よりも理解している。田知本は涙を流して悔しがった。姉もけがが回復して、軽量級の選手と練習を再開し、復帰戦を探っている。

 愛は「自分はあそこに立つことはできなかった。けど、妹の優勝で、自分のことのように感じられた」と言った。この気持ちは日本に帰ったらゆっくりと伝える腹づもりだ。

 田知本は「まだ実感はないけど、最高の気持ちで終われて、うれしい」と話した。互いを思いやる姉妹の絆が、金に輝くメダルにつながった。

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