川口裕が新王者「グリーンツダ背負う」

 「ボクシング・東洋太平洋バンタム級王座決定戦12回戦」(5日、大阪府立体育会館第2競技場)

 同級2位・川口裕(28)=グリーンツダ=が同級1位・山本隆寛(24)=井岡=を逆転の2-1判定で破り、新王者に輝いた。07年に丸元大成(現丸元ジム会長)が東洋太平洋ウェルター級王座を失って以来、8年ぶりに王座ベルトを名門ジムにもたらした。

 スパーリングで交流があり、互いに手の内は知り尽くした相手。1回から山本の強打を浴び、苦しい展開は川口の想定内だった。

 「スタミナが切れるのは分かっていた。作戦通り」。8回が終わって1人がドロー、2人が2ポイント差で山本に付ける劣勢から、9回以降、怒とうの追い上げを見せた。

 気迫と執念で山本を後退させながら、的確に左右の連打。会場の大コールも真っ二つに割れる中、最後まで闘志あふれるファイトを貫いた川口に僅差で軍配は上がった。

 昨年4月13日、日本王座に挑戦したが失敗。「負ければ引退するつもりだった」と背水の覚悟で今戦に臨んだ。「今はゆっくり休みたい」と1年ぶり死力を尽くした雪辱となった。

 昨年4月にグリーンツダの新会長に就任した本石昌也氏(39)も感無量だ。09年、4月13日、二人三脚で歩んできた元東洋太平洋フライ級王者・小松則幸氏(享年29)が不慮の事故で死去。そこから、小松氏の遺志を継ぎ、ジム再建に尽力してきた。

 「小松の気持ちも一緒に戦った」と会長就任1年で初めて味わうベルト奪取に感無量。「去年の日本タイトル戦は勝つ気満々で勝てなかった。これが自分の力かと痛感した。この勝利は川口と僕の成長、グリーンツダの成長。やっとチャンピオンを育てる環境ができたということ。マネジャー時代も含め、6年は長かった」と喜びをかみしめた。

 井岡弘樹ら3人の世界王者に加え、浪速のロッキー・赤井英和を輩出した名門が復活へ大きな一歩。新王者・川口は「グリーンツダを背負います。防衛して世界に近づきます」と高らかに宣言した。

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