山田洋次監督 神戸で被災者と再会

 映画監督の山田洋次氏(83)が15日、阪神・淡路大震災から20年を前に神戸市内で開かれた「市民のつどい」に参加。震災の年の秋に被災地の熱い要望に応じ、同市長田区で寅さんシリーズ最終作、映画「男はつらいよ 寅次郎紅の花」の撮影を行ったことを回顧した。翌96年に亡くなった主演の渥美清さんの遺作。会場には当時にロケ誘致に取り組んだ市民らが駆けつけて感謝の言葉を送り、山田監督は「天国で渥美さんも喜んでいると思います」と返礼した。

 同作は、震災で大きな焼失被害が出た神戸・長田で、震災の9カ月後にロケが行われた。当時、地元からロケ誘致の要望を受けた山田監督は「商業映画を被害の生々しい場所で撮るなんて失礼になる」と丁重に断ったという。だが地元の粘り強い署名活動や「寅さんの陽気さをもらい、わっと元気になりたい」との願いが届き、これに山田監督は、脚本を書き換えてロケに臨むことを決めたという。

 仮設商店のプレハブ小屋が並ぶ、まだ復興への第1歩を踏み出したばかりの土地でのロケだったが「地元の方々に差し入れまでいただき、本当に温かく迎えていただきましてね」。山田監督が祭りのシーンを登場させたいと相談すると、地元の若者グループが協力して出演した。

 寅さんが被災した人々を「ご苦労様でした」とねぎらい、当時の長田の街並みが映し出されて物語が終わる、渥美さんの遺作。山田監督は当時、渥美さんの体調が悪いことは察していたといい「本人は言わないけど、カメラをクローズアップした時の表情でもね…。もしかしたら最後かもという覚悟もありました」と明かした。

 この日は、会場で同作のラストシーンが上映され、万雷の拍手が起こった。当時にロケ誘致の活動を行った市民メンバーも駆けつけ「あの時、元気をいただき、本当にありがとうございました」と感謝した。

 山田監督は再会を喜び「あの映画を神戸で撮れて、本当によかったです。こんな素敵な催しに呼んでいただいたよと、渥美さんに報告したいです。天国で喜んでいると思います」と頭を下げていた。

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