カープ女子VSオリ姫 勝者は…?

 「○○女子」ブームの先駆けと言えるかもしれない。広島ファンの「カープ女子」とオリックスファンの「オリ姫」。どちらも女性ファン拡大につながったことは間違いないが、より大きな成果をあげたのはどちらの球団なのだろうか。

 先行する形でネーミングが定着したのはカープ女子。もともとは球団が企画したわけではなく、女性の広島ファンが注目されていく中でマスコミが名付けたものだった。

 オリックスでも糸井、伊藤、安達、駿太らイケメン選手が増えてきたことで、女性ファンが増加。そこに着目した球団が昨年、「集まれ!カメラ女子」などの女性向けイベントを実施したところ募集をはるかに上回る応募があった。ファンの間では、カープ女子に対抗して「オリ嬢」や「猛牛女子」などのネーミングが生まれた。その一つだった「オリ姫」を、球団が昨年からイベントに使用し始めたことで定着した。

 今季の交流戦、5月29日からの3連戦(京セラドーム大阪)では「オリ姫VSカープ女子」として、ファッション対決、運動会などのイベントも行われ、盛り上がった。

 実際、この3連戦の観客動員も2万9971人、3万2912人、3万1947人と上々。オリックス球団関係者は「女性人気が後押しして、観客動員が増えたと言える」と分析している。

 広島の観客動員は、昨年が過去最多の190万4781人。今年は昨年を上回るペースで、初の200万人突破も見えてきている。

 広島球団は、女性ファンだけでなく、すべての層が楽しめるような企画、グッズ開発を進めるというのが基本方針。一方でカープ女子の存在も意識し、昨年5月には「関東カープ女子 野球観戦ツアー」を開催した。

 広島の球団関係者は「もともと広島には女性ファンが多かったと思うんです。その中でチームが強くなって、注目度が上がって、メディアへの露出が増えて、カープ女子という言葉が生まれたんだと思います」という見方をしている。

 グッズについては女性ファンを特別意識はしていないものの、売り上げは13年が前年比20%増、14年が同40%増で今年も30~40%増が見込まれている。

 今季は黒田博樹投手の復帰などで、男女問わず観客が増えたという背景はあるだろう。そんな中、カープ女子が注目されたことで、女性ファンがより球場へ足を運びやすくなっている面はあるかもしれない。

 オリックス球団関係者は「女性客は今後も伸びしろのあるマーケットと捉えている」という。観客動員は13年が143万8467人、14年が170万3734人、15年(9月20日時点)が161万5258人。今季は最下位にも転落するなど低迷しているが、1試合平均の観客動員2万5238人は、優勝争いを繰り広げた昨年の2万3663人を上回る。オリ姫効果は無視できないだろう。

 「カープ女子VSオリ姫」は、営業面から見ればどちらも勝者と言える。チーム成績が伴えば、さらに営業面での数字は伸びるはず。今後、他球団でも女性ファン獲得が大きなテーマとなってくるかもしれない。

(デイリースポーツ・岩田卓士)

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