「パドレス２－８ドジャース」（２４日、サンディエゴ）

　ドジャースの大谷翔平投手（３１）はサンディエゴでのパドレス戦に「１番・指名打者」で出場し、九回に登板したパドレスの松井裕樹投手（２９）からナ・リーグトップに並ぶ４５号ソロを放った。出場４試合ぶりの本塁打で、試合は８－２で勝利。地区優勝マジック「３１」が点灯した。

　スーパースターは、一味違う。本塁打を放った直後の大谷の行動が話題を呼んだ。７－２の九回。松井から豪快な４５号ソロを右中間席に放り込んだ後だった。ダイヤモンドを一周し、ベッツとタッチを交わすと、三塁側ベンチではなく、ベンチ横の観客席にいたパドレスファンの元に向かった。ハイタッチを求め、肩をぽんとたたいた。

　ロバーツ監督が振り返る。「このシリーズでの翔平が、いかにむごかったかということをずっと叫んでいた。ものすごく、うっとうしかったよ。試合中ずっと耳の横で騒いでいた。あれは翔平らしくない行動だったね。彼は（ヤジを）試合中ずっと浴びせられていたから、自分からハイタッチに行って、やり返したのは良かったよ。翔平の人間味を見られたね」と笑った。

　ナ・リーグ西地区の首位を激しく争う宿敵パドレスとの３連戦。パドレスが２連勝を飾ってファンも血気盛んだった。大谷はこの試合の八回まで無安打。だが、最後の最後で意地を見せた。

　松井の真ん中高めの直球を強振。打球速度１０８・９マイル（約１７５・３キロ）で飛び出した白球は、４０９フィート（約１２４・６メートル）のアーチを描いた。シュワバー（フィリーズ）に再び並び、自らのパワーと実力を誇示した。大谷が向かっていくと、パドレスファンもタッチするしかない。うるさいファンを黙らせ、ベンチに戻っても「見たか」というようなポーズ。遊び心も超一流だった。

　主砲のフリーマンは「翔平はずっとヤジられていたけど、やり返したのを見て痛快だった」と語った。大谷の一発の前に、試合の大勢は決まっていたが、いつでも見せ場をつくるのが千両役者。ドジャースは屈辱の３連敗を免れ、パドレスと同率で再び西地区首位に並び、地区優勝マジック「３１」が点灯した。シーズンの残りは３１試合。２年連続の５０発も十分に射程圏内だ。大谷はこの先の戦いでも、そのパワーと行動でファンを魅了する。