大谷翔平が高めた「再現性」 全球種でメジャー自己最速を更新 9・10アストロズ戦

 今年、デイリースポーツ記者の心に残った試合、場面を振り返るオフ企画『一投一打』。MLB担当の小林信行記者は、エンゼルス・大谷翔平投手(28)が9月10日のアストロズ戦でメジャー自己最速となる101・4マイル(163・2キロ)の直球を投げたシーンを挙げた。今季は投球フォームの再現性を高め、ツーシームやスプリットでも自己最速を計測した。

  ◇  ◇

 鳥肌が立った。

 大谷がメジャー自己最速となる101・4マイル(163・2キロ)の直球を投げた。三回2死二、三塁の窮地を脱する魂の一投。2年連続30発の強打者タッカーのバットに空を斬らせ、5回1失点で12勝目を挙げた。

 思い出すのは、2月の春季キャンプでの記者とのやりとりだ。

 より速い球を投げる意欲、自己記録を更新したい気持ちは?その問いかけに大谷はこう答えた。

 「球速や制球力はいい動きをすれば必然的に上がってくるもの。どちらかを伸ばすというイメージではなく、どちらも伸ばしていくというか、(投球動作の)再現性を高く投げられるのがベストかなと」

 『再現性』。メジャー1年目終了後の18年10月に右肘手術を受け、20年まで思い通りの投球ができなかった大谷が常々、口にしてきたワード。目指すのは、強くて速い球ではなく、体を痛めることなく、最大限の力を球に伝えることができる型を体に記憶させることだ。

 6月中旬以降、配球の割合は直球21%に対し、スライダーは44%。投球練習ではめったに投げないカーブも要所でも投げるようになった。しかし、それは直球が悪いからではなく、むしろ、その逆。

 「まっすぐをいい感覚、いいコマンドで投げられていれば、あとはグリップ(握り)や、軌道のイメージでいい変化球が投げられる。どの球種も問題なく投げられると思います」

 昨季途中から新たにカットボールを習得した。今季終盤には投げ始めたツーシームは9月17日のマリナーズ戦で101・1マイル(162・7キロ)を計測した。スプリットは自己最速の93・4マイル(150キロ)をマークするなど、全球種で自己最速を更新。投球の幅を広げ、打者を支配し続けた。

 今月上旬に開催されたウインターミーティングでネビン監督は、来季も先発6人制を継続し、開幕から大谷を中5日で起用する方針を明らかにした。それが実践できれば、登板数は今季の28試合から5~6試合増え、投球回数も大台の200に近づく。

 今季のサイ・ヤング賞(最優秀投手)の投票結果は4位だった。日本投手がまだ一度も手にしたことのない投手最高の栄誉。大谷なら必ず獲る。メジャー唯一の二刀流選手は来季はどんな景色を見るのだろうか。

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