エンゼルス・大谷 日本選手初の満票MVP 全米が認めた歴史的二刀流

 米大リーグ機構(MLB)は18日、両リーグの最優秀選手(MVP)を発表し、ア・リーグは投打の二刀流で歴史に残る活躍を見せたエンゼルス・大谷翔平投手(27)が満票で初受賞した。日本選手では01年のイチロー(マリナーズ)以来、20年ぶり2人目。満票選出は15年のハーパー(当時ナショナルズ)以来で、18人目19度目の快挙となった。ナ・リーグはハーパー(フィリーズ)が受賞した。

 涙はなかった。逆境を乗り越えて手にした栄冠。純白のシャツに濃紺のジャケットを羽織った大谷は派手に感情を表すことなく、普段と変わらない柔らかな笑みを浮かべた。

 「すごくうれしいです」。専門局MLBネットワークのMVP発表番組にリモート出演。同僚、首脳陣、トレーナー、執刀医、ファンに向かって「感謝しています」と心からの言葉を送った。

 4年目の今季は覚悟を持って臨んだ。2月のキャンプ。マドン監督からDH解除での投打同時出場、登板日前後の打者出場など、過去3年はなかった起用法を伝えられ、複雑な気持ちになった。

 「頑張りたいなという気持ちが出てきたのもあるんですけど、どちらかというと、(二刀流の)形にならなかったら、この先を考える必要があるんじゃないかなというニュアンスもあった」

 昨季は投手でわずか2試合、1回2/3を投げた後に右腕を痛めて未勝利。打者に専念するも打率・190に終わった。指揮官の言葉を“最後通告”とも捉え、二刀流断念の不安が頭をよぎった。

 一方で18年の右肘手術、19年の左膝手術からの回復を感じ取っていたのも事実だ。充実のオフを経た結果、162試合のうち投打同時出場20試合を含む158試合でプレー。「けがなく1年間できたのが一番良かった」。投手では9勝を挙げ、打者でも46本塁打、100打点、26盗塁をマークした。賞レースで重視される、貢献度の指標WARはメジャー最高値を記録。01年のイチローでも達成できなかった満票MVP選出につなげた。

 公式戦終了から約2週間は体を休め、すでにトレーニングを開始している。来年7月で28歳。「選手としてはここからピークを迎える。5年から7年はもっともっと勝負の年じゃないかなと思う」。今後も二刀流としてさらなる進化を目指す。

 永遠に語り継がれるであろう歴史的なシーズン。獲得した賞はすでに9つを数える。会見では公言する「一番の選手になりたい」という目標は達成できたか、と問われた。

 「なってはないですね。自分でそう思う日は恐らく来ないと思う。ゴールがない分、常に頑張れる。確実にステップアップしたと思ってますし、今回の賞は今後のモチベーションになりました」。未踏の地を大谷がさっそうと突き進む。

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