チチロー宣之さん「時の流れ感じます」 イチローと二人三脚で「打撃の原型」形成

 「アスレチックス4-5マリナーズ」(21日、東京ドーム)

 マリナーズのイチロー外野手(45)が21日、現役引退を発表した。同日行われた東京ドームでの、アスレチックスとの開幕第2戦でも前日に続き「9番・右翼」で先発したイチロー。日米両球界で記録と記憶に残る活躍を演じた大選手のラストプレー。一つの歴史が終わった。

 イチローの父・鈴木宣之さん(76)は、妻の淑江さんと共にイチローの日本最後の試合を東京ドームのバックネット裏から見届けた。

 幼少期に「プロ野球選手になりたい」という夢を持ったイチローを親子鷹で支えてきた宣之さん。二人三脚で打撃の原型を形成した。練習では一風変わったトス打撃を繰り返した。通常のトス打撃は下手からの緩い球を同じ間隔で打つ。しかし、イチローのそれは父の全力投球を打ち返すものだった。

 さらに惰性でバットを振らないよう、全力投球の中にスローボールが交ぜられた。速球を打ち返すには敏しょう性に加え、動きの無駄を省く必要がある。リズムを変えて突然来る緩い球で反射神経が発達した。

 このメニューでは両手が左肩近くで保たれる、イチローの打撃で最も特徴的な動きも形作られた。前方に体重移動する際、グリップはぎりぎりまで頭の後方にある。前に踏み込みながら力をため、最後の瞬間に両手が投球に最短距離で出る。グリップが残っていることで、変化球や緩急への対応が可能になった。本人は「最終的に腕が(頭の後ろに)残るから前に動けばいい。動いてこっちに来るもの(投球)をじっと待っていても反応は良くない。テニスでも、じっとしているところから速いサーブを打ち返すのは難しい」と極意を説明している。広角打法の核心は向かってくる球に自ら近づくことで、父子による傑作でもあった。

 オリックスに入団して以降もグリーンスタジアム神戸に日参し、三塁側の指定席から左打席に入るイチローの姿を追い続けてきた。

 日本での開幕が決まった時から来場を心待ちにしてきた二人。「時の流れを感じます」と宣之さん。息子と歩んできた日々を思い起こしながら、その姿を目に焼き付けた。

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