大谷のバント安打はあり? 首脳陣が高く評価する理由

 エンゼルスの大谷翔平投手(24)が7日(日本時間8日)のドジャース戦でバント安打を試みた。それも3打席連続で、だ。敵軍内野陣が右へ寄る“大谷シフト”の逆を突く策。勝利のためとはいえ、豪快な打撃を期待するファンの心境は複雑だったかもしれないが、エ軍のディーノ・エーベル三塁コーチは「とても効果的だった」と振り返る。その理由とは。

  ◇  ◇

 両軍無得点の二回。先頭で打席に入った大谷が『1球限定』の“奇策”を見せた。三塁側ががら空きになった敵軍内野陣のシフトを逆手にとったバント安打狙いだった。

 オフに繰り広げられたメジャー球団によると大谷大争奪戦は、二刀流の才能にほれ込んだ結果だが、裏を返せば、各球団が大谷を徹底分析し、弱点も把握していることを意味する。オープン戦からレンジャーズなどが内野陣を右に寄せる“大谷シフト”を敷いたのはその最たるもの。

 ドジャースもしかり。6日からの3連戦。大谷が打席に入ると、二塁手は一、二塁間を狭め、三塁手は二塁ベースの右側へ移動するシフトを敷いた。

 試合後の大谷は「あそこまで極端なのはなかった」と感想。「転がせば100%成功という感じなので確率が高いところを選んだ」と、本気でバント安打を狙っていたことを明かした。

 ただし、当時は右肘の故障から復帰後4戦目。4月のような快音連発とはいかず、前日の試合で打率も初めて2割8分を切った。バント安打狙いは「大谷=豪快な打撃」のイメージをもつファンにとって心境複雑だったかもしれないが、エ軍のエーベル三塁コーチは「あのバントは『次』につながる、とても効果的なものだった」と高く評価する。

 理由は2つ。「当然、出塁が目的だったと思うが、バントの構えを見せることで遊撃手は警戒して前に出る。そうなれば、強振した時のヒットゾーンが広がる」。現に2点を追う九回の大谷の第4打席でド軍の遊撃テイラーは前へ移動している。「3打席目までの位置取りはハーフウエーでしたが、4打席目は絶対に出塁させないようにバントを警戒しました」。結果は出なかったが、大谷はフルスイング。三塁内野席に飛び込むファウルは左方向を意識している証拠だった。

 さらに同コーチが続ける。「バントはスイングの時よりも近い位置で、しかもギリギリまで長くボールを見る。球筋を見るのに役立つ」。2つ目の理由だ。

 「4点ビハインドまでならバントはOK。走者をためないことには点は取れないからね。同点なら迷わずフルスイング」と同コーチ。バント安打を狙った翌8日の試合で先発を外れた大谷は同点の七回に先頭で代打として登場した。テイラーの位置取りは『ハーフウエー』。バントなら成功しそうな守備位置だったが、大谷はもちろんフルスイング。打球は決勝弾となって中堅フェンスの向こうへ消えた。

 「状況によっていろんな打撃をしなきゃいけないのでしっかり準備できればいいなと思ってます」。試合後、大谷が口にした言葉が印象的だった。(デイリースポーツ・小林信行)

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