ケイバ熱盛ブログ「命日」(6月15日)

 こんにちは。“I LOVE 谷厩舎”こと栗東・松浦です。本日、6月15日は2年前に東京競馬場(障害未勝利)で非業の最期を遂げたメイクアップ号の命日です。私の競馬記者人生の中でも思い出深い一頭で、今でもトレセン内で顔面が真っ白な馬を見かけると「お、メイクだ!」と思わずつぶやいてしまいます。

 先日5日には、メイクの主戦を務めた平沢健治騎手が、JRA通算100勝を達成。ちょうど命日とタイミングが被ったので、メモリアルの祝福を込めて彼に声を掛けました。

 9日の追い切り日。彼は音無厩舎を手伝っていたので、私は調教から戻るまでしばし待機していた。その間、ともに帰りを待つベテランの渋谷厩務員に彼の仕事ぶりをうかがうと「あいつは真面目。仕事がすごく丁寧」と教えてくれた。

 調教を終えた彼に早速、メモリアルを祝福すると「ありがとうございます。もう20年も乗っていますからね。うれしいと言うよりは“やっとか”って感じです。でも、ここまで乗せていただいているのは厩舎関係者や牧場の方々、オーナーのお陰。本当にありがたいです」と、誠実な彼らしい言葉が返ってきた。

 そして話は2年前のメイクアップへ。最期の場面を聞くのは初めてだったが、時折声を詰まらせながら話した彼の言葉には胸を打たれた。「メイクに限らず、自分が乗っていた馬の死はつらいです。先日はリボンナイトを殺してしまって…。僕はもともと競馬好きと言うよりも、馬が好きなんです。障害戦はケガのリスクが高まるとはいえ、ああいうことがあると正直、騎手を辞めたくなります」。

 11年に平地免許を返上。障害専門となり、13年には美浦から栗東に所属を移した40歳の苦労人。心折れそうな場面は幾度もあっただろうが、それを乗り越えられたのは、馬への愛情と、支えてくれた関係者への感謝からだろう。「いい年になってきましたからね。毎年、障害リーディングを目指していますが、リアルに引退も考えないといけない年になりました。先のことも考えつつ、体に気をつけて日々を大事に過ごしていきたいですね」。

 彼の真意は、天に召されたメイクアップやリボンナイトらが全て分かっていることでしょう。“競馬が安全に行われますように”。あの派手な白面を思い出しながら、心の中で手を合わせました。

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