【競輪・ボート】公営競技はファンあってのもの。誰のために仕事をするべきか

 「レース記者コラム 仕事・賭け事・独り言」

 公営競技はファンの存在があって成り立っている。券の購入金が施行者に入り、そこから選手の賞金が支払われたり、その地域や国の事業に使用されたりとさまざまな使われ方をしている。要はファンによる券の購入がなければ、何もかもが成り立たないということになる。

 マスコミは選手とファンの架け橋となるわけで、情報を正確に伝えなければならない。しかし、これには前提として選手の協力が必要である。選手も自身の状況をうそ偽りなく話してくれなければならない。しかし「言っていないことを書かれたからもうしゃべらない」という選手もいる。これはマスコミとして絶対にあってはならないことで、選手に対して失礼なのはもちろんだが、公営競技にとって一番大切なファンへうその情報を流すことになり、その情報によってお金を失う可能性もある。

 選手にお願いしたい。違うことを書いた記者が悪いことは明確。それでも、選手がしゃべらないことにはファンへ情報が伝わらない。ファンに対して自分の動きを見て勝手に判断してくれと言うのは冒瀆(ぼうとく)でしかなく、記者が予想するのはあくまで予想で主観。選手個人の情報は本人にしか分からないのである。しゃべるのは仕事じゃない。結果を出すのが仕事という気持ちも理解できる。しかし、例えば家電メーカーが商品の取扱説明書を付けずに、勝手に判断して買ってとは言わないわけで、売るためにいい商品を作ることも当たり前のことじゃないかなと思う。

 場内設備についても提言したい。現状ネット発売がメインになってきているが、現地で観戦するファンも少なくない。特にビッグレースになると、券売機に長蛇の列ができ、ネットで買おうとしても回線が重く買えなかったという話をよく聞く。売れるものを売れないのは本末転倒である。ネット環境の改善や券売機の増備は急務である。また、レースを観戦する場所に椅子などが一切なく、指定席を取らないとずっと立っていなければならないような場所もあるそうだ。最大の顧客に対してもっと寄り添ってもいいのではないか。

 お金が賭けられている以上、施行者も選手も記者もファンに向けて仕事をしなければならない。買ってもらわないと何も始まらない公営競技の性質的に仕方ないこと。今やマスコミは飛ばし記事や偏った報道に対して“マスゴミ”などとやゆされているが、公営競技の記者として、選手に真摯(しんし)に接し、ファンへ正確で有益な情報を伝える使命を全うしたい。(関東ボート・競輪担当・斎藤諒)

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