【ボート】“大器晩成”の馬場貴也はここから10年が本当のピーク
「レース記者コラム 仕事・賭け事・独り言」
ボートレーサーなら誰もが出場したいと思うのが、年末の大一番グランプリ。ボートレースファンならご存じの通りだが、現在は賞金ランキング18位までの選手に出場資格が与えられ、中でも上位6位はトライアル2ndから出場できる、いわばシード権を得ることができる。加えてトライアルの最初は賞金順位で枠が決まるため、賞金ランキング1位でグランプリに出場できれば、大きなアドバンテージを得ることができる。
馬場貴也(40)=滋賀・93期・A1=は1022年から賞金ランキングを1、2、1位と3年連続トライアル2ndの1号艇からスタートしている。22年は初戦のイン戦でまさかの4着。出鼻をくじかれてしまったが、結果的には優勝戦まで駒を進めて準V。続く23年は初戦の1号艇でターンマークに衝突して転覆。妨害失格となり減点マイナス10。優勝戦へ進むことができなかった。その2年間を振り返り「昨年(23年)も一昨年(22年)も失敗したので、3度目の正直ですよね。昨年(23年)の失敗は間違いなく、今年に生きていると思います。毎年壁にぶち当たって、苦しんで、年々(グランプリを)取りたい気持ちは強くなってきています。まだ現実味はないですけど…。でも、せっかく1位で迎えられますし、チャンスだとは思います」と昨年11月のSG・チャレンジカップ(下関)の時に話していた。
その後、馬場自身グランプリ前最後の開催だった12月の福岡G1。結果を残していいリズムで大一番へ臨みたいところだったが、予選敗退。舟足や体感についてはのコメント自体は悪くなかったが、着順は5、6着を並べていた。「体感がいいのに着が取れないことは年に1回ぐらいあるんですよ。もちろんペラを叩き変えたりはしますけどね。変にもがくとS事故になったりして、今後に響きますからね。この仕事のいいところは1節終わればまたイチからというところ。でも、こういう時に峰(竜太)君は打開する力がありますよね。それは自分にないのは分かっているので、さっきも言った通りもがないようにしてます。そういう力も付けていかないですけどね。今回はこの着なのは、ポジティブに考えれば全部悪いところを落とせたってことですよね。前までならずっとモヤッとした気持ちでいたと思うけど、今はそうじゃなくなれたのは自分の成長かなと思います」と冷静に分析していた。
確かに無理する必要のない場面というのもあるが、ここまで自己分析ができていているのはさすがの一言だった。だからこそ、24年のグランプリこそはと思って、個人的に馬場に期待していた。鬼門となっているトライアル2nd初戦を難なく逃げた時には、これはそのままいっちゃうなと思っていた。しかし、そんなに甘くはなかった。5日目のトライアル2nd最終戦3着以内なら、優勝戦1号艇が決まる。4カドから1Mを回った時には2、3着争いを繰り広げていたが、2Mで振り込んでしまい後退し5着。4号艇で優勝戦には進むことができたが、悲願の初Vとはならなかった。私自身はグランプリの取材には行っていなので、鬼門を突破した時や、1号艇への勝負駆けに失敗した時。優勝戦後どんな話をしていたのかは分からない。ただ、いつの日にか「自分は結果出すのが遅い方で、30代でやっと稼げるようになったし、ここからの10年だと思っています」と話していたのを思い出した。現状でもボートレーサーのトップであるとは思うが、本人は一切満足していないはず。それはやはりグランプリを取れていないから。いや、グランプリを取ったとしても満足をしないかもしれない。“大器晩成”の馬場貴也のさらなる成長と活躍に今後も目を離せない。(関東ボート・競輪担当・斎藤諒)





