【ボート】コース不問で本命は菅章哉に決まり!

 「レース記者コラム 仕事・賭け事・独り言」

 今年1月から8月1日まで、住之江ボートのイン戦(1号艇)勝率は全体で59・3%。全国では6番目(トップは福岡県の芦屋ボートで65・1%)と高い水準にある。

 住之江の現行エンジンは3月19日から開催の「第38回全国地区選抜戦」で初下ろし以来、8月9日に閉幕した「G3・第32回アサヒビールカップ」まで優勝戦は全て1号艇の「逃げ」で決着。仕上がりには差があるが、人気を背負った1号艇の選手がインからVゴールまで独走。いずれも優勝にふさわしく、ライバルを圧倒した素晴らしいレースとなっている。

 記者は5月から住之江ボートで本紙予想を担当しているが、個人的な欲を言うと、そろそろ波乱の優勝戦も見てみたいところ。スタート展示からイン(1コース)を奪いに来るコース争いや、外枠からチルト角度を最大限まで引き上げ、威力抜群のパワーで襲いかかる「技と技のぶつかり合い」は、たとえ1号艇が勝負で敗れても見応えはたっぷり。ファンも大いに楽しめるはずだ。そんな記者が熱望する理想の優勝戦が、なんと8月12日に閉幕した宮島タイトル戦で行われていた。

 優勝戦のメンバーは1号艇から順番に、完調宣言が出た清水敦揮(岡山)、超攻撃派レーサー・菅章哉(33)=徳島・105期・A1=、準優は波乱演出で1着の谷勝幸(広島)、予選をトップ通過の西島義則(広島)、そして地元エースの山口剛(広島)、さらに地元で通算100Vを狙う市川哲也(広島)とそうそうたるメンバーがズラリと並んだ。

 当然のことながら、隙あらばインを狙う西島は前付けで2コースに入り、菅は3コースに引く。そして市川は、6コースからチルト3の大胆な仕様でスタンバイ。ワクワクする技巧派たちのファイナルバトルは、菅がコンマ07の全速S(スタート)を決め、スリットから加速すると内枠2艇をまくって丸のみ。4コースからまくり差した谷の猛追を辛うじて退け、1着でゴール。優勝を決めガッツポーズで喜びを爆発させた。

 主役となった菅だが、昨年は前期に悪夢のF3(級別審査の期間中に3回のフライング)となり、罰則のため150日間のF休み、そしてA1からB2に降格とどん底の苦しみを味わった。数々の困難を乗り越え、昨年8月の尼崎一般戦から復帰すると、闘志満点のレース攻勢で着実に勝率を稼ぎ、今期はA1に再昇格。前記の宮島で今年5回目の優勝を決め、今後の優勝回数次第では、初のSG出場も見えてきた。

 7月にびわこボート行われたG2・モーターボート大賞で、菅に話を聞く機会があった。そのレースの直前に若松一般戦で今期最初のF。「僕は嫁さんと子供がいて、車も持っているんですけど、今度Fを切ってしまうとみんな出ていってしまうんですよ」と2本目のFを心底恐れていたが、本領のチルト自在の大胆な戦闘スタイルに加え、度胸満点のS攻勢で予選を突破。優出は残念ながら逃したが、最終日はあっさり連勝で締めくくった。

 「(F3で)どん底を味わったからなのか、今は勝ったことや、ひとつひとつのことが新鮮で楽しい。新人の時のような気分ですね」と“すがすが”しい表情が忘れられない。住之江は昨年1月に出走して以来参戦していないが、今度あっせんが入った時は、優勝戦まで勝ち上がり、チルト無双の攻撃力でファンを楽しませてほしい。その時はもちろん、本命はコース不問で菅に打つ。(関西ボート担当・保田叔久)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

レース記者コラム最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(レース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス