【競輪】日本一のレーサーへ松浦悠士の挑戦は続く

 「レース記者コラム・仕事 賭け事 独り言」

 コロナ禍で日本はもちろん世界中が大きな影響を受けた2020年。年が明けた今現在も感染の拡大は止まることなく、競輪界も開催中止など大きな打撃を受けている。

 コロナの影響が大きかった2020年にMVP級の活躍を見せて競輪界を引っ張ったのは松浦悠士(30)=広島・98期・SS。

 「与えられたレースをしっかり走るのが仕事。施行者さんも関係者も来てほしいと思って呼んでくれている。そういう思いには応えないと」とG1オールスター(名古屋)、G2・ウィナーズカップ(福井)を制する活躍。

 賞金王争いではグランプリ(平塚)を制した和田健太郎(千葉)に逆転を許したが、1億5千万円以上を獲得して賞金ランクも2位となり、初のS級S班として戦った2020年は堂々の結果を残した。

 昨年11月のG1・競輪祭(小倉)では失格となったが、それ以外の開催では全て決勝に進出。「結果を残さないとって常々思っていた。S班としての責任というか、結果を出せたのかな。グランプリは残念だったけど、タイトルも取れたし」と振り返った。

 それでも「思った以上にはやれてない。もっとタイトルも欲しかったし、賞金もグランプリを勝ったら最多獲得賞金額を更新できるところまで持っていきたかった」と満足はしていない。

 98期生として2010年にデビューした松浦はすぐに頭角を現したわけではない。「デビューした時は地元G3を勝つとかS級S班になるとか言ってましたけど、今思えば、全然本気じゃなかった。ただの願望を言ってただけで、今となっては恥ずかしい」と笑いながら当時を振り返る。

 「途中からしっかりと目標に変わったのはいろいろ理由があるけど、デビューして2年くらいした時に広島の先輩にアドバイスをもらって、それから自分で考えるようになった。それからA級で結果が出た。でも初めてS級に上がっても全然ダメで。A級に落ちてからもまた考えることがあって。考え方をどんどんいい風になるように更新していった」と壁に当たっても心は折らさずに常に前を見続けた。

 2017年には目標のひとつであった地元の広島記念で準決のゴール前で落車。あと一歩で決勝の舞台を逃し「そこを目標に1年やってきてすごい悔しかった。自然と最終日の勝利者インタビューで涙が出た。悔しくて自然と涙が出たのは初めて」。記者もその涙はとても印象に残っている。

 「それだけそこに向かって頑張れたんだと思った。このまま頑張れば大丈夫なんだと思った」とこの悔しさと手応えを糧に翌年の広島記念を制覇。2019年にはG1・競輪祭(小倉)を制して初のグランプリ出場を決め、トップレーサーとしての地位を築いた。

 今やどのレースを走っても注目を集める存在となった松浦。今年の目標はG1・日本選手権(5月4~9日京王閣)と明確に設定している。

 「昨年はとにかくG1タイトルがほしかった。2020年は1年を通して戦えた。今年はピークをつくってみてもいいのかなと思ったりもしたので、ダービーに向けて体をつくったり、調整を考えたり。2021年は新たに挑戦をしてもいいかなと思う。取ってないタイトルでもあるし、取っていないタイトルの中で一番欲しいのはダービーなので」と日本一を決める戦いに照準を合わせている。

 今年初走の岸和田記念(和歌山代替)では年始に副鼻腔炎に苦しみ、状態が万全ではない中でも優勝。続く松山記念でも3連勝で決勝に勝ち上がるなど、しっかり結果を残して好スタートを切った。

 ピークをダービーに合わせるとはいえ、さすがの強さを発揮。これからさらに進化を遂げ、日本一のレーサーへ挑む松浦の走りに今年も目が離せない。(関西競輪担当・貞 友之)

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