【ボート】コロナ禍を愛情マスクで乗り切ろう

自身が作成した森高マスクで表彰式に臨んだ片岡雅裕
山口達也
3枚

 「ボートレース記者コラム・仕事 賭け事 独り言」

 今年1月9~11日まで児島で開催された、『ファン感謝3Days ボートレースバトルトーナメント』は片岡雅裕(34)=香川・101期・A1=が優勝。エンジンとプロペラは一新され、どれが当たりか誰も分からない。トーナメントの枠番は抽選。年始めの運試しとも言える大会でファイナル1号艇を引き当てた片岡が、最後は堂々たる逃げで勝利を収めた。

 コロナ禍の今、ボート界でもファンとふれあうイベントは昨年2月末以降行われていない。選手紹介も表彰式も動画配信。そんな状況下、選手がファンの前に姿を見せることができるのは優勝者の水上パレードくらい。155センチと小柄な片岡が両手を大きく振り、レスキューボートの上でジャンプしながらスタンドのファンに感謝の思いを伝える姿にジンときた。

 屋内で行われた表彰式は関係者と取材陣のみが集まり厳戒態勢で実施。取材者にはマスクとフェースシールドの着用が義務化され、選手と関係者は写真撮影時のみマスクを外し、終わればすぐに装着。被写体の片岡と撮影場所は離れており、写真を撮影するのもひと苦労。こちらに目線をもらうこともできなかった。

 そんなピリピリした雰囲気を和らげてくれたのが片岡のマスク。インタビュアーに「そのマスクは片岡選手が作られたんですよね」と話を振られた片岡が「はい、ご本人の許可なく。(本人には)二度見されて、『俺やないか』と言われました」とはにかみ笑顔。勝手に似顔絵でマスクを作った後輩に、乗り突っ込みで承認を与えた?のは片岡の先輩・森高一真(42)だ。

 シャイな片岡と一見こわもての森高とは真逆のキャラクター。片岡の遊び心と、それを受け入れた森高の懐の深さを感じさせた。児島後のG1・江戸川周年では森高と同期の井口佳典(43)が『森高マスク』を着用した写真が紙面に掲載されていた。そのマスクを付けると強くなれる!!覆面レスラー効果を連想させるのは森高のキャラクターか。

 今や生活の一部、顔の一部と化したマスクには色んな秘話がある。昨年の春先、全国の店頭からマスクが消え、やっと出回り始めたら信じられない高値であった当時。少しずつ選手間で布マスクが増えていった。嫁マスク、母マスク、そして多数を占めたのが『寺田マスク』だ。

 トップ選手として超多忙を極める女子レーサーの寺田千恵(51)がいち早くマスク制作に乗り出し、女子仲間だけでなく、混合戦を走った際には出場選手全員分のマスクを作って持参したと聞く。デザインは左右違う生地を使い、色はブルーが主体。微妙に柄は違うが、寺田作であることは一目で分かる。

 寺田マスクは進化を遂げて「寺田さんのマスクは内側もちゃんとしていて付け心地がいい」と山口達也(34)。また、荒井輝年(46)は「話していても鼻の部分がズレない優れもの」と感心していた。寺田以外の女子選手も自分でマスクを作っている。私は高橋淳美作のヒョウ柄マスクをいただいた。プリーツ型で顔に程良くフィットして心地いい。何より手作りマスクはあたたかい。作り手の思いが伝わってきて優しい気持ちになれる。

 多種多様のマスクが店頭に並び、道行く人が皆マスクをつけることが当たり前になった現在。今度は『不織布マスク警察』が布マスクを取り締まる傾向にあるとか。不織布でないと効果がないという声もあるが、それも使い方次第だ。

 あごマスクでは意味はないし、使用後のゴミ問題もある。愛情いっぱいの手作りマスクはポイ捨てできない。手作りマスクを見ると、その人を守りたいと思っている人が透けて見える。マスクが必須アイテムの今、どうせならマスク着用を楽しんで前向きなエネルギーに変えたい。

 各ボート場でもオリジナルマスクが作成されており、児島ではキャラクターのガァ~コマスクの他、今年6月に開催されるSG・グランドチャンピオン仕様のマスクも作成されている。多くの人が厳しい局面に立たされている今。ボートレース担当として仕事をさせてもらえることに日々感謝。6月のSG開催時にはコロナ禍が収束し、大勢の人でスタンドがにぎわうことを願うばかりだ。(関西ボート担当・野白由貴子)

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